「“コイツらは何かを発してる”って、感じてくれればいい」
――物事の本質に目を向けていない、と?ケイ「批判意見はあるべきだけど、最終的には、会場に来た奴等一人一人が自分の意見で判断して欲しい。テレビの情報だからって、全て正しくはないだろ?自分の目でみて、受け止めて、善し悪しを判断するべき」
――余談ですが、そうしたメッセージ性の強いドキュメンタリー映画がリリースされて話題になりましたよね?(『いのちの食べかた』/ドイツ・オーストリア)<※3>
シュウ「感覚は一緒かもね。」
――それをプロレスで表現した時に真意が伝わり辛い?
ケイ「俺達も、喋るところを選ばなきゃいけないってのは、そういうところにある」
シュウ「人によっては“ただ悪ノリしているだけじゃない?”って思っている奴もいるだろ。何にも考えないで観たら、ただ虫を殺してる非道な行いだからな。でも、俺達はあの虫達をリスペクトしてる。そして、あの蟲地獄の恐怖は本物だった。やらなきゃ分からねぇんだよ」
――最終的にお二人が伝えたかった事というのは?
ケイ「日本って自殺者がここ数年で3万人を超えてんだよ。そして、イラク戦争では5万人が死んでる。日本は平和なのに、3万人もの自殺者が出るのはどうしてか?それだけ世の中が詰まらないって事。“根本的な価値観”がずれてきるからな。何が正しいんだ?お前等!!!自分の目で見て考えろ!」
シュウ「“テレビでやっているからこれが面白い”ってなってる。ドキュメンタリーをやってれば、スタジオにタレントがいっぱいいて、番組中、画面の小さい窓では、涙を流すタレントが映りやがるだろ?そうなると“そのタレントのリアクションが、この映像に対しては正しい”ってテレビから強制されている事になるとは思わないか?」
ケイ「マインドコントールだよ。結果大人しい人種が出来上がっちまった。弱者は、怒りどころすら分からない。日本人は、もっと熱くならないと」
――大きな賛否を巻き起こす事で、自分の目で見て考えるようになる?
シュウ「ドリフだって、PTAに批判されながら伝説的な番組になった。俺達がそうなるとは思わないけど、賛否があって始めて成長出来る」
ケイ「テレビで取り上げる飲食番組もそうでしょ?大したことなんてやってないし、全員が全員うまいと感じている筈はない。でも、番組の中では、全員が“賛”って事になってる。これのどこに中身があるのか?」
シュウ「その記者には、“プロレスに何が出来るんだよ”って言われたけど、それは何もしないで周りで見ている奴の意見。何でもいいから、やらないとな。何にも始まらねぇ。“コイツらは何かを発してるんだな”って、感じてくれればいい」
ケイ「後の判断はお前達に任せるよ。楽しみたければ楽しめ、駄目なら駄目と言え。でもよ、だたの悪趣味だって勝手に判断するな。その中に何があるのかをよく考えろ」
シュウ「そして、お前達は俺達の悪行にブーイングを飛ばせ。人間なら大人しく観てないで、怒れ叫べ」
ケイ「プロレスは、善悪がハッキリ別れてる。世の中の縮図を分かり易く表してるんじゃないか?そんな中で観客は、感情を剥き出しにする。現実でお前達が戦う為のリハビリだな。全員、俺達が立派な感情を持った人間に育て直してやるよ」
シュウ「世の中もつまらねぇけどそれだけじゃねぇ。お前等もつまらねぇんだよ。“おもしろきこともなきよをおもしろく”だな。」
――バラモン興行には、そう言ったメッセージが込められていた訳ですね?
シュウ「バラモン興行?なんだそれ?お前、夢でも見てたんじゃねぇか?そんな事実はねぇぞ」
――え!?ここまできて夢オチですか?それは、B級過ぎますよ・・・。
ケイ「俺達は今日、インタビュー受けに来たんじゃねぇ。お前を悪魔のいけにえにする為に来たんだぁ~~~」
――・・・。私は、二人に襲われて気を失ってしまいました。あのインタビューは現実だったのでしょうか?目を覚ますとそこには、二匹のゴキブリが這っていました・・・。
※1 12月23日(日)みちのくプロレス、後楽園ホール大会で行われた、ザ・グレート・サスケ&ザ・グレート・フジタミノルと佐藤兄弟によるタッグマッチは宇宙大戦争と名付けられ、常識では測れない壮絶な一戦となった
※2 12月2日(日)新木場1stRINGで行われたバラモン兄弟初のプロデュース興行では、場内に社会問題にもなった反社会組織のBGMが流され、試合では大量の虫がリング上に上げられ、凶器と使われた
※3 『いのちの食べかた』/ドイツ・オーストリア/ニコラウス・ゲイハルター監督 食料生産工場を舞台にしたドキュメンタリー映画。日々、大量に殺され、人間の食料となる動物達。その現場をリアルに描いた話題作。