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伝わらない"表現者"のメッセージ(3ページ目)

今月2日の自主興行では、過激な内容からバッシングを受けたバラモン兄弟。だが、その一方では、彼等が伝えたかった想いが何一つとして観る側へと届いていない事実もあるのだ。

執筆者:川頭 広卓

「賛否があって当然。批判覚悟でやった」

――そうして行われたバラモン興行は、非常に賛否のあるものだったと思います。

シュウ「賛否があって当然。批判覚悟でやったから。否が多いくらいが調度いい。批判されると分かっててやるのは、物凄くエネルギーがいるんだがな」

ケイ「ただ、専門誌に書かれた事に対しては、言っておきたい」

――どういう事でしょうか?

ケイ「専門誌の記者は、大会後(試合形式や演出面について)かなり怒っていたよ。当然だよな。で、最初この大会は(紙面には)載せないって言われたんだ」

シュウ「載せないって言われたら、その記者に俺達のやっている意図を説明しても仕方ないだろ?だから何も答えなかった」

ケイ「何でもそうだけどインタビューって俺達の思っている事、意図している事と違った解釈で書かれるってのが多々ある。ほとんどがそうだな。そしたら、こっちも話す場所を選ばないと真意が伝わらない」

シュウ「だから何も話さなかったし答えなかった。でも、実際には、“雑誌に載せない”って言っておきながら載せてる。向こうの言い分は聞くし、載せないって言われれば、それは仕方ない事。ただ(載せないと公言した以上)既に、取材じゃないだろ?」

――「紙面に制限があって、今大会は載らない」っていう話とは違いますよね?

シュウ「記者本人の感情と主観だからね。こっちは、大会への批判があるなら聞く訳だし」

――賛否をよぶのは想定していた?

シュウ「ああいう批判記事はあっていい。あれが一般論だと思うし、普通の感情持っていれば、ああいった事を言うでしょ。でも、俺達は一般の大多数ではなく少数派。2、3割の人間・・・、引きこもりやニートに電波を発している。良いか?悪いか?それだけじゃ物事は決まらない。大多数が良いとは限らないからね。今は、少数派が生きにくい世の中になっているよな」

――では、どういう意図を持って、発した興行だったのでしょうか?

ケイ「今の世の中、色々な規制があって面白くない。やりたいと思った事が出来ず、ストレスをためてる表現者が沢山いる。利益優先で価値感は歪み、本当に大事な物が失われてる気がするね。ステレオタイプが望まれる緩くて詰まらない世の中で、俺達は針を振り切ってみた。しかも全力でね」

シュウ「実際、某テレビ局のプロデューサーも観に来てくれたけど、発散して帰ってったよ。それは、彼等が出来ない事を俺達がやってるから。少しは、ストレス解消して暫くは良い人でいられるんじゃないのか?勿論、タブーであるなんて分かってる。だからこそやる意味があるんだ」

ケイ「佐々木孫悟空もそうだな。虫を食うのがタブーって事で、世間からは抑圧されてる。でも、あの場では輝いていた。世間から駄目と言われてる奴でも、輝ける場所がある。会場に来ていた奴等らなんて、殆どそうでしょ?何人かは犯罪者予備群だよ。奴等がライヴでしか体験出来ない、生の物を観てどう感じたか。少しは、抑止になったはずだ。年末に向けて都心部での犯罪は減るんじゃねぇか?」

シュウ「“とりあえず今年は、辞めとこ!”みたいなね」

――試合形式についての賛否という意味では、私自身も“否”だったりしますが?

シュウ「あれはバーチャル化した世の中へのアンチテーゼだよ。残酷だ、可哀想だって事がリアルに目の前で行われている。俺達は誰が観ても悪い、いけないと言われる事を思いっ切りやった。結果何かが生まれると思ったからね。どう考えたかは、現場で観た奴等それぞれの胸の中にあればいい。後、批判の中で“あの虫達は本来の目的ではなく死んでいる”って言われたけど、本来の目的って何なんだろうな?」

ケイ「じゃあ、台所に出てくるゴギブリを殺すなよって思う。そういう奴等に限って、平気で殺してんだよね。試合で使ったの。あれってイグアナとかの餌になる虫達なんだぜ。この食物連鎖は正しいの?イグアナはどうなんの?人間様が飼ってる訳でしょ?イグアナだって、自然界の食物連鎖の中で育つべきなのに、結局、人間のエゴで餌を決められている。神が与えた使命が子孫繁栄だとしたら、地球上で一番必要ねぇのは人間かもな?」

シュウ「その上で人間は生きてる訳だから。今まで何匹虫殺したよ。どんだけ残酷に殺された動物食ってるよ。腹減った極限状態になったら、人間が人間だって食っちまうだろ?そもそも残酷な所業をしてるのに自分達を正当化させる為、残酷ラインを勝手に決めてるんだよ」
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