「賛否があって当然。批判覚悟でやった」
――そうして行われたバラモン興行は、非常に賛否のあるものだったと思います。シュウ「賛否があって当然。批判覚悟でやったから。否が多いくらいが調度いい。批判されると分かっててやるのは、物凄くエネルギーがいるんだがな」
ケイ「ただ、専門誌に書かれた事に対しては、言っておきたい」
――どういう事でしょうか?
ケイ「専門誌の記者は、大会後(試合形式や演出面について)かなり怒っていたよ。当然だよな。で、最初この大会は(紙面には)載せないって言われたんだ」
シュウ「載せないって言われたら、その記者に俺達のやっている意図を説明しても仕方ないだろ?だから何も答えなかった」
ケイ「何でもそうだけどインタビューって俺達の思っている事、意図している事と違った解釈で書かれるってのが多々ある。ほとんどがそうだな。そしたら、こっちも話す場所を選ばないと真意が伝わらない」
シュウ「だから何も話さなかったし答えなかった。でも、実際には、“雑誌に載せない”って言っておきながら載せてる。向こうの言い分は聞くし、載せないって言われれば、それは仕方ない事。ただ(載せないと公言した以上)既に、取材じゃないだろ?」
――「紙面に制限があって、今大会は載らない」っていう話とは違いますよね?
シュウ「記者本人の感情と主観だからね。こっちは、大会への批判があるなら聞く訳だし」
――賛否をよぶのは想定していた?
シュウ「ああいう批判記事はあっていい。あれが一般論だと思うし、普通の感情持っていれば、ああいった事を言うでしょ。でも、俺達は一般の大多数ではなく少数派。2、3割の人間・・・、引きこもりやニートに電波を発している。良いか?悪いか?それだけじゃ物事は決まらない。大多数が良いとは限らないからね。今は、少数派が生きにくい世の中になっているよな」
――では、どういう意図を持って、発した興行だったのでしょうか?
ケイ「今の世の中、色々な規制があって面白くない。やりたいと思った事が出来ず、ストレスをためてる表現者が沢山いる。利益優先で価値感は歪み、本当に大事な物が失われてる気がするね。ステレオタイプが望まれる緩くて詰まらない世の中で、俺達は針を振り切ってみた。しかも全力でね」
シュウ「実際、某テレビ局のプロデューサーも観に来てくれたけど、発散して帰ってったよ。それは、彼等が出来ない事を俺達がやってるから。少しは、ストレス解消して暫くは良い人でいられるんじゃないのか?勿論、タブーであるなんて分かってる。だからこそやる意味があるんだ」
ケイ「佐々木孫悟空もそうだな。虫を食うのがタブーって事で、世間からは抑圧されてる。でも、あの場では輝いていた。世間から駄目と言われてる奴でも、輝ける場所がある。会場に来ていた奴等らなんて、殆どそうでしょ?何人かは犯罪者予備群だよ。奴等がライヴでしか体験出来ない、生の物を観てどう感じたか。少しは、抑止になったはずだ。年末に向けて都心部での犯罪は減るんじゃねぇか?」
シュウ「“とりあえず今年は、辞めとこ!”みたいなね」
――試合形式についての賛否という意味では、私自身も“否”だったりしますが?
シュウ「あれはバーチャル化した世の中へのアンチテーゼだよ。残酷だ、可哀想だって事がリアルに目の前で行われている。俺達は誰が観ても悪い、いけないと言われる事を思いっ切りやった。結果何かが生まれると思ったからね。どう考えたかは、現場で観た奴等それぞれの胸の中にあればいい。後、批判の中で“あの虫達は本来の目的ではなく死んでいる”って言われたけど、本来の目的って何なんだろうな?」
ケイ「じゃあ、台所に出てくるゴギブリを殺すなよって思う。そういう奴等に限って、平気で殺してんだよね。試合で使ったの。あれってイグアナとかの餌になる虫達なんだぜ。この食物連鎖は正しいの?イグアナはどうなんの?人間様が飼ってる訳でしょ?イグアナだって、自然界の食物連鎖の中で育つべきなのに、結局、人間のエゴで餌を決められている。神が与えた使命が子孫繁栄だとしたら、地球上で一番必要ねぇのは人間かもな?」
シュウ「その上で人間は生きてる訳だから。今まで何匹虫殺したよ。どんだけ残酷に殺された動物食ってるよ。腹減った極限状態になったら、人間が人間だって食っちまうだろ?そもそも残酷な所業をしてるのに自分達を正当化させる為、残酷ラインを勝手に決めてるんだよ」