人の真似はするな、何でもいいからオリジナリティを持て
KAIENTAI-DOJOも早いもので旗揚げ5年。自身もデビュー15年と大きな節目を迎える |
TAKA:そういう風に5年間やってきたので、何かあれば会議開いて、決まらなければ多数決やって……。その代わり、自分で責任とれよって。
ガイド:選手の自主性を尊重していると。
TAKA:そうこうしてるうちに、今だと自分が「これやったらヒットするよ。これやろうよ」なんていっても、選手側から「いや、それは駄目です。無理です」って却下される(笑)。
ガイド:それは頼もしいですね。
TAKA:まあ、頼もしいのか、代表としての威厳がなさ過ぎるのか。良くも悪くも自由。今の若い者は上から押さえつけられても嫌になるだけじゃないですか? だからもう好きにやればいいかなって。押さえつけて伸びなかったら困るし。自由にやらせて伸びているのかっていったら疑問ですけど。好きにやらせて結果を残してくれれば。ま、残ってないですけどね(きっぱり)。
ガイド:TAKAさんがプロデューサーとしても社長としても、譲れないアイデンティティみたいなものというのは?
TAKA:口を酸っぱくして言っているのは、「人の真似はするな、何でもいいからオリジナリティを持て」。これはうるさくいってますね。真似をするんではなく、真似される存在になれと。
ガイド:その根拠たるものは?
TAKA:結局、人の真似はオリジナルを超えないですからね。上を目指すならね。
ガイド:今度は選手・TAKAみちのくにお聞きしますが、TAKAさんの目から見てリング上の闘い、選手の成長はどのように映りますか?
TAKA:5年もやって、今は他団体との交流もありますし、いっぱい経験を積んでいるので皆、レスラーとしては成長していますね。レスラーとして一番大事なのは経験ですから。うちは毎週やってますし、実戦経験もある。だからレスラーにとっては凄くいい環境なんですよ。道場もあって、試合も定期的にあって、他団体との交流もあって。ないのはお金だけ(笑)。
ガイド:4月にはKAIENTAI-DOJOも5周年を迎え後楽園大会があります。この大会は集大成? 新たなるスタート?
TAKA:5年間の集大成を見せた上で、新たなスタートをきります。ただ、いい傾向にあるんですよ。去年、一昨年は自分がKAIENTAI-DOJOのチャンピオンであり、後楽園大会とかでもメインをはっていたのが、ベルトを獲られ、自分の名前がメインから消えたわけですから。ぶっちゃけ集客は良くなかったですが、後楽園だけは純血にこだわってきたんですよ。外部のゲスト選手を呼ばずに、うちの選手だけで、(観衆が)500人くらいの時もありましたけど、その中でやってくることで、若い選手が「俺たちがなんとかしなきゃ」って気持ちが芽生える。
ガイド:メインからTAKAみちのくの名前が消えることで、選手達に奮起を促すと?
TAKA:TAKAみちのくありきのKAIENTAI-DOJOが今はそうじゃなくなってきている。自分がいなくても、メインが締まるようになっているし、理想は純血で後楽園を満員にすること。今、後楽園でやっている団体も、必ずといっていいほどゲスト選手を呼んだりしているので、うちはあえて時代に逆行して純血にこだわりたい。それで満員にできたら凄い強いじゃないですか?
キャリア5年で、15年の自分が抜かれている事実
ガイド:一選手としてTAKAさんを脅かす存在はいますか? キャリア、技術、パフォーマンス……、TAKAみちのくの領域に達するにはまだ時間もかかりそうですが?
TAKA:それはないですね。今チャンピオンの真霜拳號だったり、前チャンピオンのJOEしかり。技術面なんかでは、真霜は既に自分の上にいっているかなと思いますし、本当に奴らは実際に肌を合わせて「凄い選手を作り上げたな」って思いますよ。
ガイド:それは最大級の賛辞ですね。
TAKA:レスラーとしては「やられた」って感じですけど、経営者としては頼もしいですよね。将来的に考えたら、そうでなきゃ困るし、5年でそういう選手を作れた。後は知名度だけですよね。キャリア5年で、15年の自分が抜かれている事実。でも、どんどん新陳代謝しなきゃいけないし。
ガイド:広くプロレス界の話をお伺いすると、TAKAさんは以前から自身のメールアドレスを公開して随時ファンの意見を受け付けていますよね。
TAKA:ファンの意見聞くっていうのも“井の中の蛙”じゃないけど自己満足で終わっちゃいけないですから。自分で凄いいいことしてるっていっても、実際自分達はお客さんありきなんで、「ファンから見た目はどうなのかな?」っていうことを知りたいんですよ。だから、広く意見を聞きたい。もちろん、皆が皆が賛成するわけじゃないし、全部じゃないにしろ。
ガイド:率直に今のプロレス界にどのような所感を持っていますか?
TAKA:今はプロレス業界に夢がないのかなって思いますよね。レスラーに憧れるっていう人も少なくなってると思いますし、どこの団体も新人が減ってますし、プロレスだけで食っていけない選手だっている。自分も昔はそうだったんですよ。それでもいつかはプロレスで食っていけるようにって野心を持っていた。TAJIRI選手もそうですよね。そういう気持ちがあるかどうかなんですよ、分かれ目は。
ガイド:レスラーの意識レベルで業界は変わる?
TAKA:「バイトしててもプロレスできればいいや」っていう選手がいるから、お客さんだって夢が持てない。団体も細分化してるしお客さんも減っている。こういう時代だからこそ、レスラーが夢をみせなきゃいけない。そこで去年、一昨年やったインディーサミットですよね。プロレスに夢を持たせて「プロレスってこんなに面白いんだぞ」って思われるよう自分のできること全てを結集させたんですけどね。
ガイド:どちらも大盛況でしたね。
TAKA:自分には色んな団体とのラインがあるから生まれたんですけど、その前後にできたGPWAもそうなんですが、こういう組織はもっと昔にできててよかったですよね。
ガイド:ファン、関係者の中にはこうした組織の誕生を願っていた人も多いと思いますね。
TAKA:ただ、そういうのは自分なんかが音頭をとってできることじゃないんで、三沢(光晴)さんが会長になって、そういうのが設立されたから何の反論もなく加盟したんですけどね。まあ、自分はそんな大きいものを動かせる力はないですけど、下の方でちょこちょこ動くことによって大きい力にしていくことはできる。今は集まって何かをやるというムーブメントが増えていますから、これをもっと大きいものにしないと。で、業界の根底を良くしていく。
ガイド:TAKAさんに求められる役割も大きい?
TAKA:自分ももう15年になりますから、プロレス界を良くするために動いていかないと。でも、それで、プロレスサミットだ、GPWAだ、自分のところだと色々やって容量オーバーになって自分を苦しめている(笑)。最優先はKAIENTAI-DOJOなんですけどね。でも、そうじゃない時もあって……。