“温度”が高かったのは先輩格である魔裟斗
確かに、K-1参戦以降、判定志向の地味でならした闘いぶりが徐々にK-1向きの“KO志向”になって来たのは、前回のブアカーオ戦の結果でも顕著だが、だからといって、人の性格が急変し、俄にビッグマウスになるとも考え難い。仮に“挑戦者”として、魔裟斗の威厳に飲まれまいとする気持ちの表現だったとしても、少し飛躍が過ぎる気がする。むしろ、この対戦にあたって “温度”が高かったのは、先輩格である魔裟斗の側だった。7月7日の開幕戦でブアカーオにKO勝ちを決めた佐藤に対し、「ついに来たね!10.1、佐藤選手、ガチガチの倒し合で盛り上げようよ」と自ら対戦をアピール。小比類巻に続く日本人ライバルとして、ようやく“視野に入った”佐藤の存在を認める言葉を口にしていたのだ。
だが、いよいよ大会直前となった9月25日の公開練習では態度が一転。「前までブンブンうるさいだけの蚊でしたけど、あまりチクチク刺すんで、いい加減に潰す。2度と起き上がれないぐらいにグリグリ踏み潰す」と、佐藤を“格下”扱いというより、“虫けら”にまで見下げたぶっつぶし宣言へと切り替えて見せたのだった。
【PART2】大会直前、“優等生”から“喧嘩上等”に変わった魔裟斗 に続く