TITANSの登場でK-1運営陣にも変動があるのか?
武田幸三と伊原会長(右)。選手の人望も厚い熱血漢。 |
そのキーマンとなるのは、魔娑斗やサップの育成に携わり、今回のGPで活躍したガオグライを所属選手として保有するなど、いまやK-1になくてはならない存在となりつつある新日本キック伊原会長だ。
現場出身の伊原氏にとって、テレビ局と谷川Pの管理する“文民統制” K-1の低迷ははがゆく映るばかりだったようで、K-1内部に近い筋から「伊原氏が立つ可能性がある」という声が聞こえてきた。
その情報と機を同じくするように、伊原会長の率いる新日本キック協会が11月6日に北九州メディアドームで、新イベント「TAITANS 1st」を発進させることになったという発表を行ったのである。第一部は通常の新日本キックの興行なのだが、第二部では「K-1軍vsTITAN軍」の8対8の対抗戦と位置付けられているのである。
TITAN軍を構成するのは新日本キックのエースでMAXにも参戦中の武田幸三を始め、ガオグライ、内田ノボルら新日本キック支配下のK-1経験選手たちである。武田は10/13のMAXに参戦したばかりであり、ガオグライもGP決勝を12月に控えての強行軍。FEGにしてもK-1ブランドの大会が集中しているこの時期に、このマッチメイクでの大会開催はあまり嬉しいものではあるまい。
うがった見方をするなら、この大会は「K1のブランドが低下する一方なら、同じコンセプトで俺がもっと面白いものを見せてやる」という伊原会長のアピールにも見えるのだ。TITANSが伊原版“シャドウキャビネット(野党による次期政権シミュレーション)”だとしたら、谷川政権にとってはかなり恐ろしい対抗勢力となるだろう。
実際、伊原氏がということではなくても、このままK-1株の暴落がつづけば、いずれ谷川氏に変わる新しいリーダーの登場を希望する内外の声は高くなるだろう。
また谷川体勢地崩れの気配は他にもある。
今年五月に開催されたROMANEXの段階では、K-1と密接に連動していたはずの新日本プロレスや猪木事務所にも独自の動きが出てきた。まず新日本プロレスは、総合枠でのエース的存在のジョシュ・バーネットをPRIDEに派遣。本来なら純プロレスハッスルにまで手を出し、提携の余地もないはずのDSEに対して、再接近を見せている。
また猪木事務所も今月23日にブラジルで開かれる「ジャングルファイト3」開催のために、スマックガールの主催で知られる篠氏をエージェントに数人の日本人格闘家の獲得に動いているという情報があるのだ。
一方、猪木事務所は、PRIDEやその他総合を舞台に活躍してきたフリーのレフェリー和田了覚氏を獲得。独自イベント開催のチャンスを狙っているらしいことを覗かせた。これまで株主である新日本の若手プロレスラーに、MMAファイトの経験を積ませる場として機能してきたジャングルファイトだが、今年四回目の猪木祭りを断念し、また世界規模のシリーズとなるといわれていたGRADIATORも結局実現しない現在、どうやらこのブランドを中心に猪木派を再構築していく動きとなるのではないかと思われる。
ROMANEXが本来予定していた秋の第二回大会が実現していれば、こうした動きはなかったはずで、猪木軍との連携が万がいつ崩れることになれば、藤田はもちろん、MAX王者のブアカーオもK-1のリングから姿を消すことになり、相当深刻な事態がおとずれることになる。
さらに、この原稿のアップ直前になって、谷川Pと親密な関係にあった新日本プロレスの上井取締役退任のニュースまでが入ってきた。いったいこの動きが何を意味するかはまだ分析できないが、いずれにせよ谷川K-1を取り巻く環境が風雲急を告げている事だけは間違えあるまい。
<谷川体制の一年を総括>
【FEG設立以降の事件の数々:クローズアップ記事】
2004年7月22日更新分 エースの引退発言、判定誤審問題MAXの危機を分析「 魔娑斗陥落、どうなるMAX?」
2004年3月29日更新分 ルール違反の暴発事故は偶然ではない 「曙暴走はまだまだ起きる !」
2003年12月1日更新分 井田&矢作格闘技毒舌巷談・AAJ出張版 「K-1 W GPジミ化現象」
【FEG設立以降の事件の数々:Boutreview記事】
FEG設立会見(2003.9.25)
[K-1 MAX] 今やK-1のトップブランドへ。武道館大会が高視聴率を記録
※平均視聴率15.2%(占拠率19.0%)、最高視聴率22.6%
[大みそか視聴率] サップ×曙、紅白上回る43%。PRIDEも健闘
[K-1 WGP] 2004年スケジュール&予選システムを発表
[K-1 MAX] 魔裟斗×ブアカーオのミスジャッジに角田Pが処分
[K-1 WGP] 9.25 武道館:脱サップ&原点回帰の大会に