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K-1 MAX世界王者・魔裟斗とライバル達の光と影 「魔娑斗~欲望とストイシズム」(5ページ目)

ついに二年越しの世界王座を奪取。今やトップクラスの注目を浴びる格闘家となった魔裟斗。その“成り上がり”を支えた強烈な野心の軌跡と、並み居るライバルを蹴落としてきたエネルギーの源泉を探る。

執筆者:井田 英登


決して人格者とは言えない。
だが、その野心はなまじっかな理念や、精神論では太刀打ちが出来ないほど確かな存在感と逞しさを備えている。

そして、ついにその欲望の果実は、あれだけ難攻不落を誇ったクラウスをマットに大の字にするまでになったのだ。宿敵をKOで下すという理想的な結果を出した試合直後の会見で、魔裟斗は初めてすこし謙虚な自分を覗かせた。「世界一になった実感はまだないけど、今はプレッシャーや練習の日々から解放されたことの方が嬉しいです。でも、勝って泣いたのは初めて」丁度、1年前武道館で「負けて泣いたのは初めて」と語ったのとは正反対のコメントだ。「今日になるまで、どれだけ強くなっているかってハテナマークがあったけど、この結果でオレって強くなっているなと思いましたね」強気の中にも、単なる強がりではない、素の感触をあたえる自己肯定であった。

実際、不遜なだけでは、その傲岸を支える実力は身に付くまい。何千回、何万回という反復練習に耐え、毎日単調な何十キロに及ぶロードワークに向かう人間が、自分の器を過大に思い続けることなどありえない。「もちろん“こんな生活やだな”と思ったりもしたこともありますね。今回はボクシングのトレーナーとか、伊原会長とか、みんなに言われたけど“オーバーワークしすぎだ”って。だから不安なんだけど、練習を減らすこともしましたね。辛いときは練習を休んだりしたけど、“練習休むのも練習だ”って言われました」

ただ出した結果に関して、どこまでも貪欲である姿勢は変わらない。
Maxの年五回の大会開催を谷川プロデューサーが目論んでいると聞かされて「チャンピオンになったんで、僕も条件を出していこうと思います 」と語った意味の裏には、もっと深い意味があったことを、僕らは次第に知らされることになる。
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