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乱闘、ルール無視続出。迷走するK-1シーンに緊急提言 「リーダー角田一人体制待望論」

石井館長収監以降、絶対的な指導者を失って迷走する巨大組織K-1。先日のモンターニャ暴走に代表される不祥事連発の現状を救えるのは、強靱な意志をもったリーダー角田信朗の決起だけではないのか?

執筆者:井田 英登



ったいK-1はどこに行こうとしているのだろう?

石井館長の脱税スキャンダルを受けて、存続の危機と囁かれた今年の始め、イベントプロデューサーに谷川貞治氏、競技統括プロデューサーに角田信朗氏を迎え、首脳陣の刷新という荒療治を行ったK-1。だが、現在のK-1シーンを見るかぎりその効果は芳しいと言い難い。

相変わらずお約束のように記者会見で、ヒール役の選手が乱闘騒動を起こして因縁話をでっち上げてみせたり、本来トップファイターのぶつかり合いを売り物にしてきたはずのリングに、まったく実績の無いプロレスラーや図体がでかいだけのデクノボウを上げるなど、プロレスまがいの過剰演出が目に付く。

そして、そうしたK-1全体の迷走状態を象徴するような事件が、昨日(6月29日)さいたまスーパーアリーナで開催された「K-1 BEAST II 2003」の第6試合中に起きてしまった。自制を失ったモンターニャ・シウバ選手が、あろうことか対戦相手の武蔵を胴タックルで突き倒し、そのままマウントパンチを見舞うという暴挙に出たのである。会場は騒然とし、リング上には両陣営の関係者が駆けのぼって暴動状況となった。

れはまったくルールでは許されていない攻撃であり、競技としてのK-1の在り方を踏みにじるような行為である。モンターニャはバックステージで「ケンカの癖が出てしまった。武蔵をはじめ観客、関係者に謝りたい」と反省のコメントを出していたというが、正直なところ、この行為自体、本当にアクシデントであったのかどうかも疑わしい部分がある。なにしろ試合中両者の攻撃は伯仲しており、この反則の直前モンターニャはパンチで武蔵をロープに詰めてさえいるのだ。状況から言えば有利と言ってもいいシチュエーションで、格闘技選手が反則を犯したりするだろうか?それも首相撲状態に入ったあと、モンターニャは武蔵を抱えたまま数歩歩いてリング中央に運んでから押し倒してすらいるのだ。これは故意以外の何者でもない。はっきり言えば、モンターニャは確信犯的にこの反則を行ったのだと僕には感じられた。

百歩譲って、これが偶発的アクシデントであったとしても、試合中に自制を失って喧嘩同様の振る舞いに走るようなレベルの低い選手を、ジャパンチャンピオンとマッチメイクする感覚には納得がいかない。というか、そんなものがメジャースポーツとして通用してはいけない。

格闘技は、基本的に殴る蹴るを見せるスポーツである。しかし、ニアリーイコール喧嘩であってはならない。野球やサッカー同様、試合中に自制を失ってルール外の攻撃を仕掛けるような人間は、そもそもプレイヤーとしてフィールドに入る権利がないのだ。まして、モンターニャはこの試合が初の格闘技戦となる、元バスケットボール選手でしかないのである。(7月4日追記:地元でプロレスをやっていたという情報もある)彼がバスケットの試合中、相手チームのプレイヤーにマウントパンチを浴びせたらどうなるか? そもそもそんな自制の失い方をするものかどうか?

ずばり言ってしまえば、K-1はナメられたのである。
他のカードを見ても、リングに上がっているのは競技の頂点を争っている選手ではない。プロレスラーに、総合格闘家に、柔道選手である。体がでかいだけの畑違いの人間が、殴る蹴るだけでK.O.を奪い合う「フリークショウ」だと言われても言い返せないような、ただの興味本位の試合が並んでいる。勇を決して異種競技に挑んだ選手達には悪いが、これはただの「見せ物」のプログラムでしかない。仮に中西や中村やサラベリーが、ボクシングに挑戦したいと思い立っても、WBAやWBCがいきなりトップクラスイベントで試合をさせるだろうか? そんなことはありえない。「プロライセンスを取得して、三回戦からどうぞ」と必ずそう言われるはずだ。それがメジャースポーツの常識だ。今のK-1にはそんな矜持も自負も感じられない。

もう、今やこの場所はアンディ・フグが魂を削りながら闘ったあのリングとは別のものになってしまったのだろうか?


[K-1 Japan]
「K-1 BEAST II 2003」

 2003年6月29日(日)
 さいたまスーパーアリーナ



 第6試合 ビースト軍団VSジャパン軍団5対5マッチ 先鋒戦 3分3R
 ×モンターニャ・シウバ(ブラジル/シッチ・マスター・ロニー)
 ○武蔵(日本/正道会館)
 2R 1'50" 失格 (倒れた相手への攻撃、レフェリーの制止を無視)




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