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【高校野球】とある地方大会の観戦記(2ページ目)

夏の甲子園を目指した高校野球の地方大会が全国で開催されている。高校野球を見続ける筆者が、とある地方大会の一シーンを描く。

執筆者:コモエスタ 坂本

試合開始

試合開始
試合開始
まもなく試合開始だ。両校の選手がホームベースを挟んで整列する。A高校はどうやら選手が12人しかおらず、控えはたった3名だ。スタメンを見ると、ライトが8番、レフトが9番というあたりに頼りなさを感じる。

プレイボール。

先行はA高校。B高校の先発は背番号10の左腕。A高校が相手のピッチャーに食らいついていけるかで、試合の行方が決まる。まるでダメなのか、少しは試合になるのか。仮に1点でも取れれば、球は遅いがコントロールのいいエースが頑張って抑えてくれるかもしれない。

1番バッターは左。左対左の対決は初球をいきなりヒッティング。いい当たりだ。しかしサードライナーでワンアウト。まるで打てないピッチャーではなさそうだ。しかし、後続が続かない。結局、1回表は三者凡退だ。

弱小エースの過酷なマウンド

一人応援する彼女
一人応援する彼女
1回裏、B高校の攻撃。A高校の背番号1のピッチングに注目だ。落ち着いたマウンドさばきで、球をコーナーに決めていく。先頭バッターをサードゴロに打ち取った。と思いきや、サードがファーストに悪送球。山なりのボールがファーストに届かない。圧倒的に肩が弱いのだ。

ピッチャーはやはり案外いい。しかし、守備が壊滅的だ。この回、ピッチャーは凡打の山を築くが、全て実質的エラーでアウトが重ねられない。瞬く間に3点を取られてしまう。

2回表もA高校は無得点。2回裏、B高校の攻撃。完全にB高校は得点の取り方を把握した。打てばいいだけなのだ。相変わらずA高校は凡打をアウトにできない。打たせて取るピッチャーなのだが、打たせても打たせても回が終わらない。

コントロールのよかった彼も、80球を超えたあたりで疲れてくる。試合開始当初の気温は35度ぐらいあった。15人目の打者に初めてのフォアボールを与える。ここまで8失点だが、守備のいいチームならおそらく0点か1点で抑えられただろう出来だ。

もうここまでで完全に決まった試合だ。私の興味は、この状態から彼がどこまで投げるだろうかということだった。ブルペンでの投球練習の姿はない。控えのピッチャーはいないかもしれない。そして彼は投げ続けた。打ち取っても打ち取っても塁に出し、走られ、そして力尽き、B高校の四番バッターにホームランを浴びた。

マウンドでうなだれる彼。二回を終わって17-0。

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