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【高校野球】とある地方大会の観戦記(3ページ目)

夏の甲子園を目指した高校野球の地方大会が全国で開催されている。高校野球を見続ける筆者が、とある地方大会の一シーンを描く。

執筆者:コモエスタ 坂本

草野球で思い出した「すそ野」

入場券売り場の野球部員
入場券売り場の野球部員
正直言って、私は高校野球というものをある時期殆ど見ていなかった。その理由はいくつかある。まずはプロ選手に比べてレベルが低いこと。ハイレベルの選手がミスなく美しいプレーを応酬すれば、誰もがそのスポーツを楽しめることは自明だ。そしてそのレベルを知ってしまうと、落ちるものは途端に興ざめになる部分がある。

他の理由は、高校野球界に漂うある種のうさんくささだ。もちろん多くの球児たちは野球に真剣に取り組んでいるのだが、上位校の選手争奪戦や高野連、周辺に寄生する大人などの利権構造などを考えると、純粋にプレーを楽しめなくなる。

しかしある時期私は、久々に草野球を観戦したりプレーしたりを通じて、草の根野球の楽しさを思い出した。たとえ下手でも、互角同士ならば試合を十分満喫できる。個々のプレーやプレーヤーのドラマを楽しめる。当たり前のことだが、たくさんの草の根プレーヤーが日本野球を支えている。頂点はもちろんプロだが、その下のピラミッドにも、多くの野球ドラマがある。

4000を超える敗者

ゲームセット
ゲームセット
そんな感覚を取り戻してから、私は高校野球を見に行くようになった。特に夏の地方大会が好きだ。4000を超えるチームが参加し、たった一つの優勝チームを決める壮大なトーナメント戦。これはすなわち、4000を超える敗者を産み出すということだ。どんなに頑張っても、負ければそこで終わり。たった一チームを除いては、敗北即終了となる残酷さも興味深い。

それゆえ、多くの高校生は必ず「失敗体験」に向き合うことになる。どう負けるか、負けから何を考えるか。真剣になればなるほど負けは痛い。しかしその痛みから逃れるために真剣にならないことは意味がない。そして、いつか必ず負ける。私は敗者のドラマだけを語りたいほど悪趣味ではないが、高校野球においては負けはそこかしこに転がり過ぎている。必然的に「負け」に関して思いを馳せざるを得ないのだ。

【試合終了】→
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