試合終了

球場の外で
球場の外で
試合開始直後には晴れていた空も、試合後半から雲行きが怪しくなった。梅雨のしとしと雨が戻ってくるかなと思い、帰り支度を始めた。遠くで雷が聞こえる。結局試合は21-0の5回コールドだった。A高校の背番号1は、150球超を一人で投げきった。

試合後、A高校のエースは大泣きしていた。悲惨な試合結果に終わったが、彼は本当によく投げ切ったし、力尽きはしたものの持てる力は存分に発揮した。その事は見る人間が見ればわかる。私は彼がもっとサバサバと、明るく終えているかと思ったので、やや意外なシーンではあった。もちろん彼には泣くに足る理由は十分ある。そして泣いた。彼の人生で、そんな泣き方をできることが、今後何回あるだろう。

雨がやにわに強くなってきた。涙雨とか言うレベルではない。いきなりの土砂降りだ。私は急いで帰路につく。帰りながら、A高校の彼らのことを考えていた。茫然として二塁ベースカバーを完全に失念していた彼も、基本プレーの重要さを痛感しながら今後も野球を見るのだろう。長い長い守備の最後で3アウト目のフライを好捕できたセンターの彼は、きっとそのプレーの感触を忘れないに違いない。

そしてかの背番号1は…彼の気持ちは私にはわからない。ただ私はこの試合で彼が好きになった。彼に勝手に思い入れた。もう二度と彼に会う機会がないとしてもだ。

そんな一期一会を求めて、私はまた高校野球を見るため、球場に行くだろう。

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