もともとはアドリブが得意な舞台役者

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人気漫画「ファンタジスタ」の主人公ももちろんFWだ
サッカーでよく使われる「ファンタジスタ(fantasista)」という言葉。幻想や空想を意味するファンタジーア(fantasia)というイタリア語が語源だ。

もともとはアドリブが得意な役者や芸人をさす言葉として使われていたという。だが、スポーツの世界でも用いられるようになり、サッカーでは想像力やひらめきにあふれた、テクニックの高い選手をファンタジスタと呼ぶようになった。

ファンタジスタと言われれば、日本人選手ではセルティックに所属する日本代表MF中村俊輔選手を思い出す人も多いだろう。また、ジダン、ロナウジーニョやカカを想像する人も少なくないはずだ。

ファンタジスタはFWのタイプの1つ

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イタリアが世界に誇るファンタジスタはやはりバッジオ
だが、ファンタジスタという言葉が使われ始めたイタリアでは、ファンタジスタはFWのタイプの一つとされ、基本的に日本のようにMFがファンタジスタと呼ばれることはない。

イタリアでいうファンタジスタとは、「トレクアリスタ(trequarista)」つまり1.5列目の選手とほぼ同義で、自身で点を取る以外にもアシストや前線へボールを供給することもできる選手のことを指している。ただし、ファンタジスタは基本的にFWに限定されるのに対して、トレクアリスタはMFを指すこともある。現在ではフランチェスコ・トッティや、かつての名選手であるロベルト・バッジオ、ジャンフランコ・ゾラ、ナポリで活躍したマラドーナということになる。

「イタリア代表のデルピエロはファンタジスタではないの?」と思われる方もいるだろう。実はイタリアではデルピエロはセカンド・ストライカー(イタリア語ではseconda punta)と呼ばれることが多い。

セカンド・ストライカーは文字通り、ファースト・ストライカーであるセンターフォワードを補佐しつつ得点を狙う選手のことで、優れたドリブルとシュートのセンスが要求される。ただ、セカンドと言っても2番手というわけではなく、あくまでもファースト・ストライカーとのコンビネーション上の役割でそう呼ばれているだけだ。

もちろん、ファンタジスタとセカンド・ストライカーの境界線は非常に曖昧で、あえていうなら、セカンド・ストライカーのほうがファンタジスタよりも前線にポジションを取っているということになる。また、守備的役割を要求されるイタリアにおいても、センターフォワード以外にファンタジスタだけ守備をしなくてもいいほど、かなり才能が認められている選手にのみ使われるのが一般的である。

もっとも、デルピエロ自身は「センターフォワード」を自認しているわけだから、ファンタジスタと呼ばれるのも実はあまり光栄ではないのかもしれないが。

日本のFWもファンタジスタが必要!?

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日本のFWにもファンタジスタを期待したい
ファンタジスタという言葉は最近ではイングランドやフランスなど、いろいろな国で使われるようになっている。だが、やはり基本的にはFWの選手に対して用いられ、日本のように拡大解釈されMFをも指すことは稀だ。

どんなにクリエイティブなパスを出し、ひらめきにあふれたシュートを打っても、カカもロナウジーニョもジダンもイタリアでは「ファンタジスタ」とは残念ながら言われないようだ。

ボランチ(ポルトガル語)とともに、すっかり日本において市民権を得た「ファンタジスタ」。だが、日本の誇る左利きの「ファンタジスタ」も、イタリアではFKが上手い「魔術師」、テクニックに優れたMFという認識のようだ。

もしかしたら本場イタリアでも「ファンタジスタ」と呼ばれるほどの選手が日本のFWにも誕生すれば、日本代表の長年の懸念である得点力不足が解消されるのかもしれない……。



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