W杯も決勝に進む2チームが決まり、今大会のMVPの候補者が、7月6日にFIFAから発表された。ベスト4に残ったチームの中から選ばれた10名のうち、果たして誰が“ドイツW杯で最も輝いた男”になるのか。

第1回受賞者はパオロ・ロッシ

最も際立った活躍を見せた選手に贈られる、W杯MVPは正式名称を“アディダス・ゴールデン・ボール賞”と言い、1982年スペイン大会から創設された。

受賞資格はベスト4に進出したチームのみで、候補者リストはFIFAテクニカル・スタディー・グループ(TSG)が作成し、各メディアの代表者によって投票で選出。次点者2名にはそれぞれ“シルバー・ボール賞”と“ブロンズボール賞”が授与される。

■歴代ゴールデンボール(MVP)受賞者
2002年日韓大会   オリバー・カーン(ドイツ)
1998年フランス大会 ロナウド(ブラジル)
1994年アメリカ大会 ロマーリオ(ブラジル)
1990年イタリア大会 サルバトーレ・スキラッチ(イタリア)
1986年メキシコ大会 ディエゴ・マラドーナ (アルゼンチン)
1982年スペイン大会 パオロ・ロッシ(イタリア)


過去6人の受賞者のうち、優勝チームからの選出はパオロ・ロッシ、マラドーナ、ロマーリオの3人。準優勝チームはカーン、ロナウド。イタリア大会のスキラッチは3位のチームからの選出だ。また、得点王と同時受賞したのは、パオロ・ロッシとスキラッチの2人のみである。

W杯のMVPはチームへの貢献度以上に、W杯への貢献度、つまり“大会の主役”に値する印象度が大きな決め手となっている。

クローゼの得点王は有力だが……

イタリアの得点の要所に絡んできたピルロをMVPに推す声も多い
今年の候補者10名の内訳は、イタリア4名、フランス3名、ドイツ2名、ポルトガル1名だ。

■イタリア:MFピルロ、DFカンナヴァーロ、DFザンブロッタ、GKブッフォン
■フランス:FWアンリ、MFジダン、MFビエラ
■ドイツ:FWクローゼ、MFバラック
■ポルトガル:MFマニシェ
 

もしドイツが決勝に進んでいたら、得点王候補の筆頭、クローゼがMVPを同時受賞する可能性が高かったかも知れない。しかし、敗退した今となっては、選ばれる可能性は低い。同様にドイツのバラックやポルトガルのマニシェも印象という部分ではやや弱いと考えられる。

そのため、今回は決勝に進んだフランスかイタリアの2チームから選ばれることになるだろう。

DFが初の受賞となるか!?

“縁の下の力持ち”がW杯で最も輝いた男になれるか!?(©Paul Blank)
印象、と言った点で考えれば、W杯を自らのキャリアのラスト・ステージに選んだフランスのジダンに勝るものはない。グループリーグでのチームの不振から一転、決勝トーナメントのブラジル戦では全盛期を彷彿させるプレーを見せ、とうとうファイナリストに名乗りを上げた。ジダンが、MVPを受賞することになれば“ドラマ”としては最高のシナリオである。

だが、“サッカーそのもの”ということを考えると、フランスのグループリーグでのお粗末な内容を評価することは難しいのではないだろうか。決勝の結果、そしてジダンの決勝でのパフォーマンス次第かも知れないが……。

そう考えると、やはりMVPは優勝いかんに関わらず、最多4人の候補者を出したイタリアの選手が選ばれる可能性が高く、なかでもピルロとカンナヴァーロが有力である。

FIFAのホームページの投票でも1位につけているピルロは、初戦のガーナ戦でのFKを始め、準決勝ドイツ戦でのグロッソへのアシストなど、トッティに代わるイタリアの司令塔として終始チームの攻撃に貢献してきた。

また、主将のカンナヴァーロは、イタリアの失点がオウンゴールによる1点のみと言う数字を見てもわかるとおり、攻撃的になったと言われるイタリアのなかで、伝統の堅守カテナッチオ(閂、錠前)を見事に守ってきた。

カンナヴァーロは、コンビを組むネスタを負傷で欠いた後も、一人でイタリアの最終ラインを統率し、相手にシュートの隙さえ与えなかった。身長176センチとDFとしては小柄だが、優れた跳躍力と、鍛え抜かれた肉体を持つカンナヴァーロは、ディフェンスの役割のみならず、主将としても、言葉だけではなく体でチームを牽引してきたことがわかる。

今までDFにバロンドール(欧州最優秀選手賞)が与えられたことはない。また得点王のような華々しい賞とは無縁のDFだが、“陰の功労者”に日の目が当たることがあっても良いのではなかろうか。


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