延長後半110分の突然の出来事
アーセナル監督のヴェンゲルは「ジダンは代表としてもう1試合戦ってほしい」と試合後にコメントした(©soccer-europe.com) |
グループリーグで一度は“死んだ”レ・ブルーことフランス代表は、英雄ジダンの引退を決勝という最高の舞台で彩ろうと、決勝トーナメントを戦ってきた。そして、ジダン自身もそれに応えるかのようなプレーを見せ、主将らしい落ち着きと穏やかさを表情に称えていた。
だが、決勝の試合開始から110分が過ぎたとき、ジダンはイタリアのDFマテラッツィと絡んだ後、回り込んで突如、胸に勢いよく頭突きを食らわせたのだった。
当然のことながら、審判から提示されたレッドカードによりジダンは再び手にしたかったW杯の横を悲しく通り過ぎ、自ら舞台を降りてしまった。
通算14回目のレッドカード
ジダンは普段は物静かでシャイな性格だが、時に熱くなる一面を併せ持っていることは有名だ。優勝した1998年のW杯のグループリーグでも、サウジアラビアの選手を両足で踏みつけて一発退場、2試合の出場停止を受けた。ユベントスに在籍していた2000年のチャンピオンズリーグでも、相手選手の頭蓋骨にひびが入るほどの強烈な頭突きをお見舞いし、5試合の出場停止処分を受けたこともある。今回で実に14度目の退場だった。
そうした“前科”を考えると、今回の出来事は特別驚くことではないのかも知れない。しかし、今回はW杯の決勝、自身の引退試合でもある。しかも、勝負はまだ着いてないどころか、むしろフランスの方が少しだけ勝利に近いくらいだった。