W杯ドイツ大会は、PK戦を制したイタリアが4度目の優勝を飾った。一方、敗れたフランスのジダンは、“世紀の頭突き”により自身の最後の舞台をレッドカードによって去ることになった。いったい何がジダンをあの行為に駆り立てたのだろうか……。

延長後半110分の突然の出来事

アーセナル監督のヴェンゲルは「ジダンは代表としてもう1試合戦ってほしい」と試合後にコメントした(©soccer-europe.com)
ベルリンでの決勝は、それまでフランスが優位に試合を進めていた。延長の後半になっても0-0のままの両チームだったが、守備の機敏さもパス回しの正確さも、その夜はフランスの方が一枚上だった。

グループリーグで一度は“死んだ”レ・ブルーことフランス代表は、英雄ジダンの引退を決勝という最高の舞台で彩ろうと、決勝トーナメントを戦ってきた。そして、ジダン自身もそれに応えるかのようなプレーを見せ、主将らしい落ち着きと穏やかさを表情に称えていた。

だが、決勝の試合開始から110分が過ぎたとき、ジダンはイタリアのDFマテラッツィと絡んだ後、回り込んで突如、胸に勢いよく頭突きを食らわせたのだった。

当然のことながら、審判から提示されたレッドカードによりジダンは再び手にしたかったW杯の横を悲しく通り過ぎ、自ら舞台を降りてしまった。

通算14回目のレッドカード

ジダンは普段は物静かでシャイな性格だが、時に熱くなる一面を併せ持っていることは有名だ。

優勝した1998年のW杯のグループリーグでも、サウジアラビアの選手を両足で踏みつけて一発退場、2試合の出場停止を受けた。ユベントスに在籍していた2000年のチャンピオンズリーグでも、相手選手の頭蓋骨にひびが入るほどの強烈な頭突きをお見舞いし、5試合の出場停止処分を受けたこともある。今回で実に14度目の退場だった。

そうした“前科”を考えると、今回の出来事は特別驚くことではないのかも知れない。しかし、今回はW杯の決勝、自身の引退試合でもある。しかも、勝負はまだ着いてないどころか、むしろフランスの方が少しだけ勝利に近いくらいだった。