ワールドサッカー/チャンピオンズリーグ

パベル・ネドヴェド ビッグイヤーへの執念(2ページ目)

95-96シーズン以降、CLでは雌伏の時代が続くユベントス。ビッグイヤーの獲得に向けて、着々と準備を進めていたはずなのだが、準々決勝で絶体絶命の崖っぷちに立たされている……。

執筆者:斉藤 健仁

「ビアンコネロ」は“奇跡”を起こせるか?

昨夏の来日時、セリエA優勝杯の前でのカペッロ監督とユベントスのメンバー(写真・野辺優子 クリックすると拡大されます)
最大のチャンスを逃した翌03-04シーズンではベスト16に終わり、3連覇をかけたスクデットもミランに奪われてしまった。04-05シーズンもリーグ優勝したものの、CLではリヴァプールに負けてベスト8。ユベントスは辞任したリッピに代わり、ローマを率いていたカペッロを電撃的に移籍させ、同時にエメルソンやイブラヒモビッチをトリノの地に連れてきた。

カペッロは“使命”であるビッグイヤー獲りに着手した。アーセナルからフランス代表のヴィエラをユベントスに加入させることで、ネドヴェドとともに中盤の動きをさらに強化した。さらに、この10年ユベントスのエースとして絶対的に君臨してきたデルピエロをベンチに座り続けさせることで、FWの競争心と研鑽を促すことに成功。今シーズン、わずか1敗でシーズン終了まであと6試合を残したところで、2位ミランに9ポイント差とセリエAを独走している。

「ターンオーバー制」導入の先駆けであるカペッロの手腕で、リーグでの戦い方に余裕を残したユベントスは、万全の体制でCLに臨んでいるはずだった。グループリーグではその強さを見せ1位で勝ち上がったものの、決勝トーナメント1回戦の初戦では、ブレーメンに終了前の5分で2点を取られ再逆転されたところから、カペッロが綿密に練ったはずの計画が、わずかに狂い始めた。それでも、ホームの2戦目で相手GKのミスにより、ユベントスの幸運の女神に微笑みが戻ったかに思われた。しかし、累積警告によりネドヴェドが出場停止。さらには、リーグ戦でデルピエロが故障し、暗雲が立ちこめた。

ロンドンでのアーセナルとの準々決勝第1戦、ユベントスは序盤こそ互角の勝負を見せた。だが、予想通り、ネドヴェドのいないユベントスの攻撃陣は決め手を欠き、徐々にホームのアーセナルがリズムをつかみ出す。するとヴィエラの穴を埋める形で加入した、若干18歳でスペイン代表としてW杯出場も期待される、ファブレガスが40分に先制点を挙げ、主将のフランス代表FWアンリが69分に追加点を挙げ2-0とし、アーセナルの完勝に終わった。ユベントスはカモラネージとゼビナと2人の退場者を出し、最悪の展開で、敵地で1点も奪えぬまま、イタリアに戻る羽目になってしまった。

あの準決勝から3年、チェコ代表と同じくユベントスはいまだに33歳のネドヴェド頼みのチームなのだろうか……。そんなことを思わせるハイバリーでの敗戦だった。

4月5日にホームで行われる第2戦では、ヴィエラを累積警告で欠くが、ネドヴェドはピッチに戻ってくる。カペッロの冷静な指揮が、ユーベを決勝の地・フランスのサン・ドニまでの道のりを再び切り開くことができるだろうか。それとも、ユニフォームの白黒からイタリア語で「ビアンコネロ(bianconero)」と呼ばれるチームに“奇跡”を起こすのは、ネドヴェドの「ビッグイヤー」への執念に期待するしかないのか――。

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