アート・美術展/アート・美術展関連情報

2008年8月の展覧会・イベント情報

月例のおすすめ情報をお届けします。国立新美術館で開催される「静物画の秘密」展、豊田市美術館で開催されるブラジルの現代美術を紹介する展覧会、京都で開催されるアートプロジェクトなど4件をご紹介。

執筆者:橋本 誠

文章:橋本 誠(All About「アート・美術展」旧ガイド)

ウィーン美術史美術館所蔵|静物画の秘密展


薔薇色の衣裳のマルガリータ王女》
「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」
ディエゴ・ロドリゲス・シルバ・イ・ベラスケス 1653-54年頃
油彩・キャンヴァス 128.5×100cm
ウィーン美術史美術館が所蔵する豊富な作品群のなかから、「秘密」が隠れる75点の秀作を選出。巨匠ルーベンスやブリューゲルの作品をはじめ、それぞれの作品が秘める深い意味を探る展覧会です。

展覧会は、第一章「市場・台所・虚栄の静物」、第二章「狩猟・果実・豪華な品々・花の静物」、第三章「宗教・季節・自然と静物」、第四章「風俗・肖像と静物」の4部で構成されており、「静物画」が広くヨーロッパに展開した理由を紹介しています。

例えばこちらの「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」はベラスケスの有名な作品のひとつ。こちらは日本初公開です。

描かれているのはスペイン・ハプスブルク家の王女マルガリータです。幼い顔つきですがバラの模様が入った豪華絢爛なドレスを身に纏い、テーブルに手をかける姿は気品にあふれています。テーブルおかれる花瓶に添えられているのは、ピンクのバラと白いマーガレットです。この花々がこの絵画を読み解く鍵です。

「静物:虚栄(ヴァニタス)」
「静物:虚栄(ヴァニタス)」アントニオ・デ・ペレダ・イ・サルガド 1634年頃 油彩・キャンヴァス 139.5×174cm

こちらの作品「静物:虚栄(ヴァニタス)」にはさらに多くのモチーフが描かれています。天使のような人物が見つめる先には無数の骸骨、灯の消えた蝋燭や鎧が並び、なんとも不思議な光景が描かれています。地球儀や手にもつカメオなどこれらのモチーフにはそれぞれ暗示しているものがあります。

このようにそれぞれのモチーフがもった秘密の鍵を開けていくと、静物画が我々に多くを語りかけていることに気がつくことでしょう。興味を持たれた方は是非会場に足を運び、静物画の奥深い謎を解き明かしてみてください。

会期中には静物画に関する講座が開催されます。8月16日には「知られざる静物画の魅力」と題して神戸大学大学院准教授・宮下規久朗が講演。先着250人で聴講は無料。詳しくは展覧会公式ウェブサイトをご参照下さい。



【ウィーン美術史美術館所蔵|静物画の秘密展】

■会期  2008年7月2日(水)~9月15日(月・祝)
■開館時間
 10:00~18:00(金曜日は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
■休館日 火曜日
■会場  国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2)
■主催  国立新美術館/東京新聞
■後援  オーストリア大使館
■協賛  日本写真印刷
■協力  オーストリア航空/Lufthansa Cargo AG
■観覧料(  )内は20名様以上の団体料金
 一般  1,500円(1,200円)
 大学生 1,200円(900円)
 高校生 700円(500円)
 中学生以下 無料
 ※8/16は学生証の提示で高校生無料
 ※障害者手帳をお持ちの方とその付添いの方1名は無料
■問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)

東京展の後、仙台(宮城県美術館/2008年10月7日~12月14日)、神戸(兵庫県立美術館/2009年1月6日~3月29日)、青森(青森県立美術館/2009年4月~6月)に巡回予定。


詳しくは展覧会 オフィシャルサイトをご確認ください。

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