ピューリッツァー賞作家
マイケル・シェイボン
究極のコミックヒーロー"エスケーピスト"を生み出したサミーとジョー。戦争に翻弄された2人はそれぞれに波乱の人生を送っていく。2001年度のピューリッツァー賞受賞作。 |
そんな著者の持ち味としては、明瞭なテーマ性とエンターテインメントを両立させた作風が挙げられるだろう。たとえば2000年に映画化された『ワンダー・ボーイズ』は、大学教授でもあるスランプ中の作家、窮地に立たされたゲイの編集者、自殺願望を持つ学生といった"大人になりきれない人々"の物語だが、彼らが直面するトラブルはむしろユーモラスに描かれている。そして『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』でコミックへのオマージュを試みた著者は、SFとミステリーの道具立てを活かした――いわばジャンル横断的な――大作にも挑んでみせた。それが『ユダヤ警官同盟』なのである。
次のページでは『ユダヤ警官同盟』を御紹介します。