エド・マクベインと警察小説
刑事たちが次々に殺された。アイソラ警察は犯人に辿り着けるのか? 〈87分署〉シリーズの記念すべき開幕編。 |
そんな〈87分署〉シリーズの著者エド・マクベインは、1926年に(アイソラのモデルでもある)ニューヨークで生まれた。海軍勤務を経て専門学校で創作を学び、出版エージェントの社員として活動した後、1953年に作家として独立。翌年にエヴァン・ハンター名義で発表した『暴力教室』は最初のヒット作となった。代表作〈87分署〉シリーズや〈ホープ弁護士〉シリーズのほか、エヴァン・ハンター名義のサスペンス、カート・キャノン名義の私立探偵小説なども手掛けており、1986年にアメリカ探偵作家クラブのグランドマスター、1998年に英国推理作家協会のダイヤモンドダガーを獲得した巨匠である。ちなみにマクベインはアルフレッド・ヒッチコック『鳥』の脚本家でもあり(ハンター名義)、黒澤明『天国と地獄』は〈87分署〉シリーズの『キングの身代金』を映像化したもの。日本の映画好きとも縁の深い人物と言えるだろう。
次のページでは『十の罪業 RED』と『十の罪業 BLACK』を御紹介します。