ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

10人のオールスター競演(2ページ目)

警察小説〈87分署〉シリーズで知られるエド・マクベイン。彼の編んだアンソロジー『十の罪業』には超一流のメンバーが集結しています。

執筆者:福井 健太

人気作家たちの華麗な競演

『十の罪業 RED』
編者の作品を含む5編を収めた"上巻"にあたる1冊。ドートマンダーやケラーに再会できるファン必読の書だ。
エド・マクベインを編者として、10人の書き下ろし中編を集めたアンソロジーが『十の罪業 RED』『十の罪業 BLACK』である。エド・マクベイン、ドナルド・E・ウェストレイク、ジョン・ファリス、シャーリン・マクラム、ローレンス・ブロック、ジェフリー・ディーヴァー、スティーヴン・キング、ジョイス・キャロル・オーツ、ウォルター・モズリイ、アン・ペリーといった錚々たるメンバーの作品群が、合わせて約1400ページも詰め込まれている――という時点で、質量ともに充実していることは言うまでもないだろう。殆どの作品が100ページ以上のボリュームを備えており、それぞれに読み応えがあるのも嬉しいところだ。

あえて傾向を挙げるとすれば、上巻にあたる『十の罪業 RED』に人気キャラクターが登場しているのに対し、下巻にあたる『十の罪業 BLACK』では"単独の物語性"が重視されている。前者にはマクベインの〈87分署〉シリーズ、ウェストレイクの〈怪盗ドートマンダー〉シリーズ、ブロックの〈殺し屋ケラー〉シリーズなどが揃っており、後者にはディーヴァーのサスペンスやキングの"9・11"テーマの異色作などが収められている。つまりは――両者を併せて読むことで――様々な楽しみ方ができる構成になっているわけだ。マクベインは本書の完成直前(2005年7月6日)に逝去し、ウェストレイクは邦訳版の刊行直前(2009年12月31日)に亡くなったが、そんな偶然もまた本書の背負った"業"なのかもしれない。

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