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江戸川乱歩と"推理クイズ小説"(2ページ目)

巨匠・江戸川乱歩は"推理クイズ小説"の先導者でもありました。その成果をまとめた2冊の文庫本を御紹介します。

執筆者:福井 健太

乱歩と"推理クイズ小説"を繋ぐ
2冊のアンソロジー

『江戸川乱歩の推理教室』
『推理教室』を2巻に分割し、乱歩関連の"推理クイズ小説"を増補したシリーズの1冊目。入手困難だったテキストも多数収録されている。
2008年から2009年にかけて刊行された『江戸川乱歩の推理教室』『江戸川乱歩の推理試験』は、乱歩が携わった様々な"推理クイズ小説"を集めたアンソロジー。前ページで触れた『推理試験』の全編に加え、乱歩が出題者を務めた懸賞企画〈推理試験〉や、乱歩が監修した〈短篇ミステリー・クイズ〉――さらには少年向けの〈諸君は名探偵になれますか?〉や、乱歩と大下宇陀児の謎解き対談なども収められている。乱歩にまつわる膨大な資料から"推理クイズ小説"関連のテキストを精選した編集ぶりは、あの〈江戸川乱歩全集〉を手掛けた編集委員によるところが大きいに違いない。

乱歩の話ばかりを述べてきたが、執筆陣の顔ぶれにも言及しておくべきだろう。楠田匡介、仁木悦子、飛鳥高、鮎川哲也、永瀬三吾、千代有三、佐野洋、宮原龍雄、岡田鯱彦、多岐川恭、鷲尾三郎、樹下太郎、大河内常平、山村正夫、土屋隆夫、木々高太郎、水谷準、渡辺剣次、桂英二、大下宇陀児、堀崎繁喜――この全員を知る人は少ないにせよ、いくつかは見知った名前があるはずだ。彼らが"推理クイズ小説"に徹した作品群は、ミステリーの原初的な楽しみを読者に与えて(思い出させて)くれる。当時のミステリー作家たちを一望できるアンソロジーにして、推理ゲームの"遊び場"にして、乱歩研究の資料にもなるという好企画なのである。

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