乱歩と"推理クイズ小説"を繋ぐ
2冊のアンソロジー
『推理教室』を2巻に分割し、乱歩関連の"推理クイズ小説"を増補したシリーズの1冊目。入手困難だったテキストも多数収録されている。 |
乱歩の話ばかりを述べてきたが、執筆陣の顔ぶれにも言及しておくべきだろう。楠田匡介、仁木悦子、飛鳥高、鮎川哲也、永瀬三吾、千代有三、佐野洋、宮原龍雄、岡田鯱彦、多岐川恭、鷲尾三郎、樹下太郎、大河内常平、山村正夫、土屋隆夫、木々高太郎、水谷準、渡辺剣次、桂英二、大下宇陀児、堀崎繁喜――この全員を知る人は少ないにせよ、いくつかは見知った名前があるはずだ。彼らが"推理クイズ小説"に徹した作品群は、ミステリーの原初的な楽しみを読者に与えて(思い出させて)くれる。当時のミステリー作家たちを一望できるアンソロジーにして、推理ゲームの"遊び場"にして、乱歩研究の資料にもなるという好企画なのである。
【関連サイト】
・ミステリー文学資料館…光文社公式サイトに置かれたミステリー文学資料館のページです。