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デニス・ルヘインの最新作が来日!

デニス・ルヘインの5年ぶりの新作『運命の日』が上梓されました。多くのファンが待ち望んだその内容に迫ります。

執筆者:福井 健太

"私立探偵作家"デニス・ルヘイン

『スコッチに涙を託して』
私立探偵コンビのもとに舞い込んだのは、書類を盗んだ掃除婦を探して欲しいという上院議員の依頼だった。〈パトリック&アンジー〉シリーズ第1弾。
デニス・ルヘインは1957年にボストンのドーチェスターで生まれた。フロリダのエッカード・カレッジで創作を学び、大学では「暗い難解な短編やシナリオ」を書くかたわら――遊びのつもりで――私立探偵のパトリックとアンジーが活躍する『スコッチに涙を託して』を執筆し、指導教官がその原稿をエージェントに送ったことで1994年に小説家デビュー。同作はシェイマス賞の最優秀新人賞を獲得し、パトリック&アンジーのシリーズは『闇よ、我が手を取りたまえ』『穢れしものに祝福を』『愛しき者はすべて去りゆく』『雨に祈りを』と書き続けられることになった。

著者の故郷であるボストンを舞台に、人間味のある私立探偵たちが"闇"に対峙するこれらの物語は、本国のみならず日本でも多くの読者を魅了している。掃除婦が上院議員から盗んだ書類をめぐる殺人、マフィアに狙われた精神科医を守るための死闘、大富豪の娘捜しに端を発した騒動、誘拐された娘を救出するための奮戦、女を自殺に追いやった黒幕探し――いずれもプロットはオーソドックスなものだが、人々の過去を掘り下げる"深さ"こそが最大の見所なのである(ちなみにこのシリーズは「デニス・レヘイン」名義で邦訳されている。探す際には要注意だ)。

絶賛を浴びたベストセラー
『ミスティック・リバー』

『ミスティック・リバー』
かつて友情を育んだ少年たちは、25年の歳月を経て、殺人被害者の父親、捜査を担当する刑事、有力容疑者となって再会した。運命の皮肉を描く犯罪小説の名作。
そんな著者が持ち味を昇華させた初のノンシリーズ長編が『ミスティック・リバー』である。友情を育んできた少年たち――ショーン、ジミー、デイヴの間に変化が生じたのは、警官に化けた男がデイヴを誘拐した土曜日のことだった。デイヴは4日後に独力で生還するものの、彼がどんな目に遭ったのかは明らかだった。そして25年後、犯罪者から更正したジミーを悲劇が襲う。19歳の娘が何者かに惨殺されたのだ。刑事になったショーンが捜査を手掛けるものの、容疑者として浮かんだのはデイヴの名前だった……。性的暴行を受けたデイヴの孤独、彼を救えなかったジミーとショーンの後悔、周囲の人々の苦悩などが織り成すノスタルジックな悲劇。2001年度版『週刊文春ミステリーベストテン』第2位に選ばれたほか、2003年にはクリント・イーストウッド監督の手で映画化された現代の名作である。

次のページでは『シャッター・アイランド』『運命の日』を御紹介します。
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