鉄道ミステリーの古典たち
停車中のオリエント急行で乗客の死体が発見された。名探偵エルキュール・ポワロが突き止めた意外な犯人の正体とは? |
クリスティーの列車ミステリーとしては、他に『青列車の秘密』や『パディントン発4時50分』なども挙げられる。前者はブルートレインで富豪の娘が殺され、乗り合わせたポワロが謎を解くという物語。後者は「併走する列車の殺人事件を目撃した」という友人の主張を受け、死体が捨てられたと思しき屋敷にミス・マープルが(スパイとして)家政婦を送り込む話。後者では列車は前半にしか登場しないが、列車によって特異なシチュエーションを生んだ野心作であることは間違いない。
アルフレッド・ヒッチコック監督
『バルカン超特急』の原作
特急列車で知り合った女性が消失した。周囲の人々は誰も彼女を見ていないという。不気味な境遇に置かれたヒロインの苦闘を描くサスペンスの古典。 |
鉄道ミステリーは無数に書かれており、セバスチャン・ジャプリゾのデビュー作『寝台車の殺人者』のような好著もあれば――日本では単行本化されていないが――ヴィクター・L・ホワイトチャーチのような鉄道ミステリーの名手も存在する。日本への紹介は充分ではないけれど、欧米の鉄道ミステリーは1つの豊かな鉱脈なのである。
【関連サイト】
・東京創元社公式サイト…版元による『記憶をなくして汽車の旅』紹介ページ。著者と作品に関する記事が読めます。