ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

残酷描写が駄目な方は読まないでください(2ページ目)

いきなりタイトルで脅して申し訳ありません。グロテスクな描写てんこもりで駄目な人はまったく駄目、でもハマる人はどっぷりハマる。そんな本を紹介します。

執筆者:石井 千湖

平山版「地獄の黙示録」?「すさまじき熱帯」

独白するユニバーサル横メルカトル
装幀も美しい。使用フォントも雰囲気に合っています。
主人公の〈俺〉は女と一緒に古着屋を開くための資金を得ようと、久しぶりに再会した父・ドブロクとともに熱帯の国へ向かいます。ドブロクが持ちかけてきた仕事は、現地で麻薬の生産管理をしていた男を殺すこと。組を裏切ったその男は、ジャングルに自分の王国をつくったというのです。まるでコッポラの「地獄の黙示録」ですね。〈俺〉はドブロクと一緒にボートで河を遡上しますが、待ち受けていたのは人喰いワニやドジョウがうじゃうじゃいる世にも恐ろしい世界でした……。

初めて名を聞いたその国の言葉が〈俺〉にはどう聞こえるか。そこがとても面白いです。たとえば空港に着いたときからこんな感じ。

〈鍋彼構うなチンポ吸い池之端文化センター〉浅黒い入管の言っていることは全くわからず、俺の耳には電波者の妄想から出る言葉の羅列に響いた。

ほかにも挨拶が〈小円遊〉(小円遊についてはこのあたりを参照ください)と聞こえたり。まずこのデタラメな翻訳が笑える。そして目的地にたどりついていきなり豹変するドブロクに爆笑。皮肉が利いたラストまで、楽しい(?)一編です。

本書の帯の裏面には〈是に拠る平山本に対する依存性は読了者は非読了者に比べ約2倍から4倍高くなります〉と書いてあります。確かに、今後平山氏の新刊から目を離せそうにもありません。

<関連サイト>
【平山夢明 ブログ】ある日記…著者のブログ。各メディアでの紹介情報などが見られます。ここからリンクされている担当編集者のブログによると11月29日にロフトプラスワンでイベントがある模様!
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