負けず嫌いの女性たち
働く女性は特に共感! |
真梨さん:一歩引いて他人の話を聞くというよりは、場ができるとみんな一斉にしゃべりだす、みたいな。たまたま私のまわりがそうだったのかもしれないですけれども、黙って聞き役になるキャラがいなくて。だからどうしても負けず嫌いの女性を描いてしまうんですよね。自分自身もそうなので(笑)。
私が就職したのはちょうど世の中が女性の自立をうたいはじめていた時期だったので、結婚よりも社会に出なきゃみたいな雰囲気がありました。「今年の新入社員はほんとうに我が強い」とよく言われていましたね。働いている女性は特に、負けず嫌いなところを見せないとやっていけない部分はあると思います。でも負けず嫌いの人って、けっこう損をすることが多いんですよ。私もここ5年くらいは「負けるが勝ち」を座右の銘にしています(笑)。
ワイドショーを読む感覚で
ガイド:本書に出てくるマンションの話も、女性の負けず嫌いを象徴しているのではないでしょうか。登場人物のひとり、田宮瑤子は築浅の分譲マンションのしかも最上階を、格安で購入したことに優越感を感じている。その部屋に以前住んでいた井崎詩織は、負けず嫌いゆえに引っ越した。住んでいるところでお互いにランク付けをする感じが「あるある!」と思いました。女性って住む場所に対するこだわりが強いじゃないですか。真梨さん:そういう傾向はありますね。私は会社を辞める前にマンションを買ったんです。ひとり暮らしの女性が買うのは当時はまだ珍しくて、それで「マンションを買った」と辺り構わず、言いふらしていたんですが、そのたびに、ちょっと空気が変わったんですよ。ざわっとする感じ。まず、みんな根掘り葉掘り質問するんです。「場所はどこ?」「値段はいくら?」「間取りは?」とか、もう聞いてほしくないことばっかり。きっとみんな頭の中でランク付けをしていたんでしょう。自分と比べて安心したり、「えーっ、負けた」と思ったり(笑)。実は、私にもそういう傾向があります。女性って、他人の収入とかも気にしません?
本心を隠した女同士の微妙な駆け引きもリアル! |
ガイド:します、します。知りたい気持ちもわかりますが。
真梨さん:聞いてもないのに旦那さんの収入を言ったり、私の収入も遠まわしに聞いてきたり。知りたくもないことを言ってきて、知られたくないことを聞いてくる。ああ、これはもう女性のさがなのかなと。以前はそういうやりとりがイヤだったんですが、最近は楽しくて(笑)。
ガイド:そういう本心を隠したやりとりなど、『女ともだち』には自分も含めて女性のいや~な部分がリアルに描かれていいます。「うわっ」と思うんですけど読みだしたら止まらないですよね(笑)。
真梨さん:たぶん、ワイドショーを見るような感覚で読んでいただけると思います。私もワイドショーは好きなので。他人の秘密をのぞいてみたいという気持ちがあるんですね。誰にでもそういう部分はあると思いますし、他人のうわさになんてまったく興味がないという人のほうが信用できないですね。ちょっとその人の外面を一枚一枚はがしたくなります。
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