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本格書店ミステリ誕生!大崎梢さん(2ページ目)

もし、身近な本屋さんで謎めいた出来事が起こっていたら? そんな本好きにはたまらない設定で書かれた話題のデビュー作『配達あかずきん』について、著者の大崎梢さんにお話をうかがいました。

執筆者:石井 千湖

ストッカーの中に××? シリーズの今後は……。

TRICK+TRAP
今回の取材場所は吉祥寺にあるミステリ専門書店「TRICK+TRAP」。ここに「成風堂書店事件メモ」シリーズがずらりと並ぶ日もそう遠くはなさそう。
ガイド:最初は「書店を舞台にしてどれだけネタがあるのかな?」と思ってたんですよ。でも読んでいくと、ヴァリエーション豊かですよね。「パンダは囁く」は問い合わせ対応が暗号解読につながり、「標野にて。君が袖振る」は失踪した定期購読のお客さんの行方を推理し、「配達あかずきん」は配達をめぐるトラブルを解決、といった具合に。

大崎さん:ネタは意外とあるんですよね。このあいだ東京創元社の営業さんと話したら「ストッカー(棚の下にある在庫を入れる引き出し)の中に死体が入っているというのはどうですか?」なんておっしゃってました(笑)。

ガイド:それは怖いかも(笑)。でも、確かに死体くらいは入りそうな大きさですね。

大崎さん:ストッカーの後ろに本が落ちたりするじゃないですか。それを拾おうとしたときに死体があったら……。想像しちゃうでしょう? まぁ、そのアイデアを使えるとしたらシリーズの最後かもしれませんけど。

ガイド:ということは、シリーズはこれからも続いていくんですね。楽しみです。次回作はどうなるんでしょうか?

大崎さん:次は長編を出す予定です。杏子と多絵が夏休みに地方の書店に行って、そこで起こる事件を解明します。地方が舞台で、幽霊が出てきて、鍾乳洞までは出てきませんけど、横溝正史みたいな小説を書くのが夢なんですよね。見立てものとか大好きなんです。私が書くとちがった感じになりそうですけど、マインドだけは横溝ということで(笑)。

大崎さんが語る書店の魅力とは?

ガイド:これからも書店を舞台に小説を書き続けるということですが、大崎さんは書店のどこがおもしろいと思われますか?

大崎さん:毎日変化があるところでしょうか。仕事自体はルーティンワークなんですけれども、毎日ちがう本が入ってきて、流行も変わる。いつも売れない雑誌がその週だけは売れたり、急に問い合わせが増える本があったり、それに対応するのはたいへんなんですが、とてもおもしろかったですね。

ガイド:扱う商品の種類が多いから、世の中の動きがダイレクトに伝わってきますよね。そういえば本書の表紙も、書店に本が並んでいるような感じです。

大崎さん:これはデザイナーさんが書店の平台をイメージして考えてくださったんです。1冊1冊の表紙を見るとあることがわかるんですよ。

ガイド:並んでいるのはミステリ・フロンティアシリーズの表紙ですよね? あーっ、ほんとだ。これ、すごく凝っていますね。ぜんぜん気がつきませんでした。

大崎さん:じーっと見ていただくと、いろいろ発見があると思います。


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