2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。「しゃばけシリーズ」は、50万部を突破するほどの人気! |
1月に上梓された新刊『アコギなのかリッパなのか』は、元大物国会議員の事務所を舞台にした“日常の謎”系統の連作短篇集です。時代モノから現代モノまで引き出しの多い畠中さんに、好きなミステリー小説についてうかがいました。
「しゃばけシリーズ」の原点はこの時代ミステリーだった!
「なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ 」は元侍の砂絵かきのセンセーが同じ長屋に住む大道芸人たちを使いながら、持ち込まれた謎を解決する。都筑道夫さんの代表作。 |
畠中さん:そうなんです。私は都筑先生の「なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ 」が大好きで。講座が開かれる場所も家から近かったし、これはもう“行くしかない!”と。
ガイド:「なめくじ長屋」はどういうところがお好きなんですか?
畠中さん:ああいう仲間が自分もほしいと思っちゃうところですかね。キャラクターに惹きつけられます。また、ロジックもすごいですよね。時代小説だけど、人情モノではない。新本格みたいなロジックと時代モノを組み合わている面白さがあるんです。本当に好きで、何回も何回も読みました。
妖怪を出した理由は……
ガイド:「しゃばけシリーズ」も時代モノだし、キャラクターや謎解きの部分が魅力的です。「なめくじ長屋」には妖怪は出てきませんが、大道芸人という普通の町人とは異なる能力を持つ人々が活躍します。畠中さん:「なめくじ長屋」みたいな集団が出てくる物語を書きたかったんですけど、好きなだけに普通の人間にすると似てしまうかなと思ったんですよね。だから妖怪にしたんです。江戸時代のことを書いた資料などによれば、当時は“妖怪はいるものだ”と信じられていたそうなので、出しても不自然じゃないかなって。
ガイド:江戸時代だから科学捜査はできない。でも、妖怪はほとんどの人間の眼には見えないからこっそり情報を集めることができる。設定が巧く活かされています。
畠中さん:妖怪を出すから書けることもあるんですけど、妖(あやかし)ゆえに書きにくいこともあって面白いですね。京極さんという先駆者もいるし、これからも妖怪モノを書く人は増えるんじゃないでしょうか。
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