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夫婦の絆を見直したくなる5冊(5ページ目)

結婚10周年を迎えたばかりのガイドが、夫婦の恋愛問題を描いた本、「こんな夫婦になりたい!」と思えるオススメ夫婦本をご紹介します!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

話題の本ガイド

楽しい会話は一番強い絆田辺聖子『残花亭日暦』

残花亭日暦 (角川文庫)
<DATA>タイトル:『残花亭日暦』出版社:角川書店著者:田辺聖子価格:500円(税込)
恋愛小説の名手で、ユーモラスなエッセイも人気。古典文学の優れた紹介者としても知られる大作家・田辺聖子。『残花亭日暦』は、2001年6月から翌年3月までの日記をまとめた1冊です。その間に、田辺さんは夫との永遠の別れを迎えることになります。

田辺さんが夫の川野純夫さんと出会ったのは、川野さんの前妻で作家の彰子さんの追悼文を寄せたのがきっかけ。2人はすっかり意気投合し、何時間も話し込むようになりました。〈いっそ、結婚しよう、そのほうがおしゃべりしやすい〉というわけで田辺さんが38歳のときに結婚。2人は一緒に酒を飲み、しゃべり、好きな歌を唄って仲むつまじく暮らしてきたのです。ところが20年以上前に病に倒れ車椅子生活になっていた川野さんに、新たな病が見つかり……。

川野さんはイヤなことはしない、自分のキモチに忠実な人。ワガママで介護する田辺さんや秘書のミドちゃんを困らせますが、気の利いた冗談や鋭いツッコミで周囲を笑わせます。田辺さんは介護のたいへんさも書きつつ、夫の言動を“ヘンなオッサン”“天才”と面白がっている。つくづく「ああ、いい夫婦だなあ」と思います。特に好きなのは、夫の死を間近に感じて病室で涙を流してしまった田辺さんに、川野さんがいった一言。

彼は私に目を当て、ゆっくりと一語ずつくぎりながらつぶやく。〈かわいそに。ワシは あんたの。味方やで〉

なぜか七五調の愛のセリフに、田辺さんは思わず笑いだします。でもこの言葉が、川野さんの死後も、田辺さんの支えになるのです。シンプルだけど、どんなときも相手との会話が楽しくなるように努めること。これが夫婦の絆を強める秘けつではないでしょうか。

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