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第133回直木賞・芥川賞決定! 『空中ブランコ』

第133回直木賞・芥川賞が決定した。まずは、4回目のノミネートで栄冠を射止めた奥田英朗さんの『空中ブランコ』をご紹介。

執筆者:梅村 千恵


『空中ブランコ』
祝!直木賞受賞!トンデモ精神科医・伊良部が大暴走する爆笑連作短編。


『空中ブランコ』
・奥田英朗 (著)
・価格:1238円(税込)

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■直木賞に、奥田氏・熊谷氏。奥田作品の受賞に大盛り上がり!

第133回直木賞・芥川賞が決定した。直木賞は、奥田英朗『空中ブランコ』、熊谷達也『邂逅の森』、芥川賞は、モブ・ノリオ『介護入門』に。
奥田氏は、『邪魔』『マドンナ』『イン・ザ・プール』などで過去4度直木賞にノミネート、トンデモ精神科医を主人公にした連作短編第二弾でついに栄冠を射止めた。熊谷氏の『邂逅の森』は、山本周五郎賞とのダブル受賞。文壇初の快挙である。
芥川賞を受賞したモブ・ノリオ氏は、世界的なスカムロック・バンドに在席するなど、ユニークな経歴の持ち主。受賞作は、祖母の介護をするドラッグ中毒の青年の独語をラップ音楽を思わせる独特のリズムで表現し、現代若者の倫理観に迫った作品(らしい。すみません、未読です)。

芥川賞については、作品を拝読させていただいてから触れるとして、直木賞。奥田氏の受賞には、私の周辺の編集者・ライター以外の人々も、ちょっぴり興奮。「獲ったのねぇ、奥田さん」(こういう言い方をするのは、編集者)じゃなくて、「やったね、伊良部」。プチ・ブームなのである、『空中ブランコ』のトンデモ精神科医・伊良部が。

■常識の一切通じない怪医・伊良部、ますます好調!

体重百キロ超、「色白のアザラシ」のような風貌。総合病院の跡取り息子でマザコン、注射フリーク。大学の医学部を卒業できたのは、日本医師会の重鎮であるオヤジのコネ、あるいは、秋篠宮殿下ご成婚の特赦で、国家試験を通ったことについてはフリーメーソンの関与説まで出た逸材である。もし、この作品を映像化するなら、伊良部役は、誰がいいかという話題もしきりだ(巨乳で無愛想な看護婦役は、小池栄子かMEGUMIあたりでいけそうなんですが、いないんですよねぇ、ちょっと毒のあるポッチャリの人って・・・)。

本作は、『イン・ザ・プール』に続き、彼を主人公にした連作短編2作目。今回、精神科医伊良部のもとを訪れるのは、不眠症にかかった空中ブランコ乗り、先端恐怖症のヤクザ、イップスにかかったプロ野球選手などなど。悩みに悩んで、精神科医のもとにカウンセリング目的で訪れるのだが、まずは、一発、ぶっとい注射を打たれて、後は、伊良部が「空中ブランコに乗らせてくれ」だの「ピストルを撃たせてほしい」・・・患者たちは思う「いったい、自分はどこに迷いこんだんた?」・・・
「信頼できない病院・医者ランキング」なんてものがもしあれば、上位入賞間違いなしなのだが、なぜか患者たちは、コイツに振り回されているうちに・・・
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