男の夜遊び/クラブ・カラオケ・音楽コラム

実力派女性DJ YUMMY インタビュー!(4ページ目)

『HOUSE NATION』のレジデントDJにして、近年Burningman,USA、北京、ソウルでのパフォーマンスを成功させるなど、今最も勢いのある実力派として注目されるYUMMY。こんな女性DJに踊らされたい!

大脇 克浩

執筆者:大脇 克浩

男の夜遊びガイド

「クラブシーンの非日常は、
普段の日常をしっかりと生きてこそ輝く」

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ーー 「バーニングマン」のように体感型のパーティもそうですけど、最初のレイヴ体験で人生の価値観を変えられることって多いでしょうね。

YUMMY そうですね。自分がとても好きなポール・オークンフォールドがプライベートでDJをしに来ていて、お客さんとの信頼関係だけで成り立っているようなプレイで、多分、どんな曲をかけているか本人も分かってないし、お客さんもどんな曲でも盛り上がるんですけど。テクニックではなくて、ポール・オークンフォールドっていう人間とフロアの一体感がスゴくて、そのプレイに「DJってこういうことなのかな」って衝撃を受けて。だから自分がDJを続けようと決めたのも「バーニングマン」に行ってからですね。ダンスフロアに何か人生を賭けるに値するものがあるかもしれないと思って。

ーー今、振り返っても「バーニングマン」が人生のパラダイムシフトだったと。

YUMMY そう。DJとしての体験も大きかったけど、この世知辛い東京で生きて行く上で勇気づけてくれた体験でもありましたね。東京に無いものが全部あるみたいな、すごい場所だったから。でも、また行きたいとは思ったけど、不思議と毎年行こうとは思わなくて…。あの場所が人生の目的化しそうで怖かったんですよね(しみじみと)。

ーーソレで生きるって決めるのは少し違うという。レイヴって、ある程度の距離感を持ってこそ楽しいというか。

YUMMY そうそう。私が言うのもヘンだけど、レイヴやクラブシーンなど非日常の場は、普段の日常をしっかりと生きてこそ輝くものだから。その距離感は今でも保つようにしてますね。

ーー非日常という意味では、ヤミーさんがレジデントDJの『ハウスネーション』って魅力的なパーティですよね。なにか、日常と非日常が隣り合わせで、気軽に行き来できるというか。

YUMMY 一つ、私が魅力的に思うのは、5時から始まって11時に終わる、っていう時間帯なんですよ。まるでカラオケや映画館にでも行くような気軽さで遊びに行けるという。初めてクラブに行く人を取り込みつつ、国内外の個性あるゲストDJやライヴアクトを呼んだり、ラウンジでお茶をサーブしたりと、今まで遊んでいた人たちも満足できる。良くも悪くも毒が無くて、メジャーが好きな人も、ディープな世界が好きな人も、みなオープンに遊べる空気があると思います。私自身、最初にコンピレーション・アルバムで知った音楽を、クラブみたいな大きな空間で聞きたい!! と思っていた時期もあるし。自分自身がそういう順番でクラブシーンに触れたので、「ハウスネーション」のお客さんが求めている雰囲気がよく分かるんですよね。

ーー実はボク、数ヶ月前の一周年パーティが初めてだったんですけど、本当に楽しかった。普段はディープなパーティにどっぷりだけど、あのスウィートでキラキラな雰囲気も悪くないな、と(笑)。

YUMMY ディスコの気軽さとクラブの自由さを併せもった、珍しいパーティだと思います。ダンサーがいたり、エンターテイメントとして喜ばせる部分は抜かりなく演出していて、そういう部分は評価されるべきだと思う。敷居の低い、かつ自由なパーティを提供すると言う意味では、イエローが無くなって、クラブシーンが下降気味と囁かれるなか、一つの方向性を提示できそうな予感がしています。来てるお客さんを見ていると、音楽だけじゃない要素までめいいっぱい楽しんでやろうというノリでクラブに来ているから「今どきだな」って思いながら見ているんですけどね。

ーーカラオケに行くようなノリで気軽に遊びに来て欲しい。キッカケはそれでいい、という。

YUMMY 場所性っていうんですか、クラブのサウンドシステムで体験する音楽って、CDで聞いたイメージと全く違うものだし、それこそがクラブの魅力だから、クラブに来てセンセーショナルな体験をする、特別な場所で同じ空気や音を共有するという楽しさが分かってもらえればDJとしてはコッチのもので(笑)。

ーーにしても、初めて行くには敷居の高い場所だと思うんですよ。どうして踊っていいかも分からないだろうし。そこでヤミーさんが初めてクラブに行ったことを振り返って、楽しみ方をご指導いただければと(笑)。

YUMMY アハハハ! 私の場合はいきなり『バーニングマン』だから、あまり参考にならないかもしれない(笑)。ひとりで行ってもひとりで楽しめるのがクラブのいい所だと思う。知り合いがいなくても音が守ってくれるとうか(笑)。でも、それは難しいだろうから、まあ、お酒でも 飲んでほろ酔いになって、メインフロアで音が良く聞こえる場所をフラフラと探して、そこで前の人の動きをマネしながらユラユラ体を揺らしていると、30分くらいすれば「クラブで踊るってこういうことかな」って、だんだん分かってくると思う(笑)。まあ、私の友人たちは、せっかくクラブに来たのにずっと女のコと話してるとか、早々に酔いつぶれて寝てたりとか。究極的にはパターンや遊び方に決まり事がないのがクラブの魅力だと思いますね。
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