訪れる度に深みを増す新宿ゴールデン街
時刻は夜7時。区役所通りから撮影した新宿ゴールデン街。これから始まる夜遊びを期待させる |
もちろん、「YES」でもあり「NO」でもあるのだけれど、寿司、焼き鳥、小劇場、一見お断りの会員制バー、若い店主が多いニューウェーブバー、ゲイバー、熟女がひとりで切り盛りする飲み屋等々、ゴールデン街というエリアが、こと夜遊びに関して東京ミッドタウンより優れていることは事実。その遊び方は、趣味の合う店を見つけるもよし、女性目当てで通うもよし、安酒を求めてハシゴするもよし。何度訪れようと、夜遊び好きなエピキュリアンたちを飽きさせない。ただ楽しいだけがでなく、店によっては敷居の高さもこの街の魅力なのだけど……。
さて、今回の主旨はゴールデン街の初心者ガイド。それでは、まず、この街の歴史をお勉強することから始めるとしよう。少々小難しくなりそうだが、気軽に読み流してやって下さい。
新宿ゴールデン街小史
昼間のゴールデン街。私有地であるこの街、バー『せんちゃん』の店先ではママが洗濯をするなど、この街の日常を垣間見れた |
以後、1947年の売春防止法まで、「青線」と呼ばれる非合法売春地帯として栄えた。「青線」につては、明確な資料が現存していないが、今はソープ街として親しまれている川崎・堀之内も青線だったとされている。3階建ての建物が多く、当時の「青線」は1階がバー、2階と3階が住居や売春を行う、いわゆる「ちょんの間」、というスタイルだったという。
一般的にはこのバラック酒場一帯をゴールデン街として総称しているが、実際には、南側に位置する『新宿ゴールデン街商業組合』と北側位置する『新宿三光商店街振興組合』でに別れており、本来、ゴールデン街とは『新宿ゴールデン街商業組合』一帯を指すという。『新宿ゴールデン街商業組合』は4.5坪の店が多く、『新宿三光商店街振興組合』は3坪の店が多い。建物は4戸で一つ長屋になっており、その間を細い路地が通っている。
1947年以降は飲み屋街として再興したが、かつてのゴールデン街は文壇、映画、演劇などの文化人のディープでコク深い遊び場だった。しかし、定期借家権の創設などもあって、数年前から若い世代が斬新なコンセプトで店を開くようになり、現在、250軒超の店が営業している。
ちなみに、ゴールデン街の物件を扱う誠美興業株式会社さんによると、定期借家権付きの物件で月額10万円程度で貸し出されており、多くの出店希望者が空店舗を求めている状況なのだという。僕もその一人になろうと思い順番待ちを希望したが、「当分空きそうにない」と一笑されてしまった。