80年代:ヨーロッパ映画のベスト5
BAGDAD CAFE OUT OF ROSENHEIM 『バグダッド・カフェ』 |
(1987年/西ドイツ映画/上映時間:91min/監督:パーシー・アドロン/出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト、ジャック・パランス)
・アメリカはラスベガスとロサンゼルスを結ぶ道筋にあるモハヴェ砂漠のはずれにさびれたモーテル“バグダット・カフェ”があります。ある日、ドイツ女性がやって来ます。砂埃の道をハイヒールで歩いてきたこの奇妙な女が、やがてさびれたカフェを砂漠の中のオアシスに変えてゆくという、カフェ版『シェーン』とでも言いたい作品です。砂漠の乾いたタッチをうまく描出しています。
PARIS, TEXAS 『パリ、テキサス』 |
(1984年/西ドイツ=フランス映画/上映時間:146min/監督:ヴィム・ヴェンダース/出演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー)
・テキサス州に存在するという町「パリ」をめざす男がいます。彼は失踪した妻を探し求めていました。男は、4年間置き去りにしていた幼い息子との間にも親子の情を取り戻すのです。二人の妻であり母を捜す旅がはじまります。ロード・ムービーの頂点を極めた秀作です。
THE COOK, THE THIEF, HIS WIFE & HER LOVER 『コックと泥棒、その妻と愛人』 |
(1989年/イギリス=フランス映画/上映時間:124min/監督:ピーター・グリーナウェイ/出演:リシャール・ボーランジェ、マイケル・ガンボン、ヘレン・ミレン、ティム・ロス)
・高級フランス料理店“ル・オランデーズ”に3人の客(泥棒、その妻と愛人)がやってきます。監督グリーナウェイの名を一躍メジャーに押し上げた作品です。ブラックでグロテスクな笑いと、レストラン内・厨房・化粧室と画面の色合いを変えるという映像の面白さでも魅せる、スキャンダラスな一篇です。
THE LAST EMPEROR L'ULTIMO IMPERTORE 『ラストエンペラー』 |
(1987年/イタリア=イギリス=中国映画/上映時間:163min/監督:ベルナルド・ベルトルッチ/出演:ジョン・ローン、ピーター・オトゥール、坂本龍一)
・わずか3歳で清朝皇帝の地位につきながらも、近代化の嵐にもまれ、孤独な日々を送らざるを得なかった溥儀。彼が即位してから文化大革命以降に至るまでを描き出した大作です。中国現代史を背景に、別れと出逢い、嫉妬と情熱、陰謀、政治など、ドラマティックな要素を幾重にも絡ませた脚本の素晴らしさ!アカデミー賞では、作品・監督・脚色・撮影・美術・衣装デザイン・編集・オリジナル作曲(坂本龍一他)・録音賞を受賞した傑作です。主題曲も『戦場のメリークリスマス』に匹敵する素晴らしさです。
LA FEMME D'ACOTE THE WOMAN NEXT DOOR 『隣の女』 |
(1981年/フランス映画/上映時間:106min/監督:フランソワ・トリュフォー/出演:ジェラール・ドパルデュー、ファニー・アルダン)
・偶然、隣り合わせで住むことになった、今はそれぞれの家庭があるかつての恋人どうしが、再び恋の炎を燃やし、近所でテニスをするという口実に密会を重ねますが、男は次第に臆病になり、焼け木杭に火が付いた女の恋の炎は日増しに燃え上がってゆきます。この俗っぽいメロドラマを名作に昇華させたトリフォー演出の素晴らしさ!同監督の『アメリカの夜』、『大人は判ってくれない』に並ぶ傑作です。
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