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2008年公開の名作映画ベスト10(4ページ目)

2008年に日本で初公開された作品から、ガイドの趣味と独断で選んだBEST10をカウントダウンでお届けします。

執筆者:中野 豊

第2位:『ノーカントリー』
衝撃のバイオレンス!コーエン兄弟の最高作

ノーカントリー
NO COUNTRY FOR OLD MEN
『ノーカントリー』
コーマック・マッカーシーの小説「血と暴力の国」を、監督・製作・編集も務めたコーエン兄弟が脚色した本作は、コーエン作品の中でもずば抜けた凄みと面白さをもっています。もっとも注目すべきはアカデミー賞の助演男優に輝いたハビエル・バルデムのキャラクター造成でしょう。彼が出るだけで画面が異様な輝きを放ちます。

アメリカの荒涼たる西部、テキサスの町でひとりの男モスが麻薬密売にからんだ大金を偶然みつけ、金を持ち去ることでモスの運命が大きく狂い始めます。法と正義を信じる年配の保安官べルや警察を巻き込みながら、執拗に追ってくる謎の殺し屋シガーから逃げるモス。保安官はモスを救うことができるのでしょうか?

老いた保安官が語り手となって、失われていく昔かたぎのフロンティアを嘆きながら綴られる『ノーカントリー』は、暴力的な無法地帯と化したアメリカ西部の今を映し出した驚愕の逸品!

[作品情報]
・2007年/アメリカ映画/上映時間:122min
・監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
・出演:トミー・リー・ジョーンズ、ジョシュ・ブローリン、ハビエル・バルデム、ウディ・ハレルソン

第1位:『ランジェ公爵夫人』
ヌーヴェルバーグ作家、ジャック・リヴェットの新作は会話のサド・マゾ映画

ランジェ公爵夫人
オノレ・ド・バルザック (著), 工藤庸子 (翻訳) の単行本「ランジェ公爵夫人」
フランス映画を1等賞にしたのは何年振りだろうか?と過去の手帳やデータベースで調べてみたら、同じジャック・リヴェット監督作の『美しき諍い女』(1991年)でした。それほどにフランス映画から遠ざかっていたのかと反省し、また本作にめぐり会えた喜びも大きいです。

パリの舞踏会でモンリヴォー将軍と出会い、激しい恋心を抱くランジェ公爵夫人ですが、彼女は思わせぶりな態度で将軍を翻弄し続けます。遂に将軍は公爵夫人を誘拐するという強引な手に出ます。駆け引きを辞めて心から将軍を愛そうと決めた公爵夫人は、その後熱烈なラヴレターを送り続けるのですが、今度は将軍が徹底的に無視するようになるのです。拒絶されたと思った公爵夫人は俗世間から離れてゆくのですが……。

ラスト、船上の将軍一行の会話をお聞き漏らさぬように。あまりに辛辣なセリフに驚きながら映画は幕を閉じます。

2008年に主演のギョーム・ドパルデューが死去、享年37歳でした。

[作品情報]
・原題:NE TOUCHEZ PAS LA HACHE LA DUCHESSA DI LANGEAIS DON'T TOUCH THE AXE
・2007年/フランス=イタリア映画/上映時間:137min
・監督:ジャック・リヴェット
・出演:ギョーム・ドパルデュー、ジャンヌ・バリバール、ビュル・オジエ、ミシェル・ピッコリ
オフィシャルサイト


恒例のガイドの独断と趣味の「年間のベスト10」でした。みなさんも2008年の優秀映画を選んでみませんか? 日本インターネット映画大賞投票は(09年1月15日の木曜日まで受付)こちらです。

映画のヘビーユーザーや試写室などで評判の高かった2008年公開映画10選「モア10」を近日アップいたします。

また、映画の出来栄えというより奇妙な作品・どこか愛すべき作品・書くのに憚れる作品などガイドの2008年カルト10を年明け1月下旬のメールマガジンで発表いたします。無料のメールマガジンのご登録をお待ちしております。

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