文章:中野 豊(All About「名作映画」旧ガイド)
ジャンル別オールタイムのセレクト10シリーズ第5弾は「怪人・モンスター映画」から。「モンスター」と言っても、シャーリーズ・セロン主演映画やピンクレディーの歌ではありません(笑)。大枠では「恐怖映画」のジャンルに入りますが、怪人・モンスター映画は何故かB級映画扱いされる悲しき定めを背負っているように感じます。そこで今回は、怪人・モンスター(除く巨大怪物・怪獣)映画にスポットを当て、映画史に埋もれそうな快作を掘り起こしてみます。
怪人・モンスターには、狼男、透明人間、ミイラ男、ハエ男、半魚人など有名人?はたくさん居ますが、「ヴァンパイア映画」と「フランケンシュタイン博士のモンスター映画」に秀作が多く、この2強怪人・モンスターで9作品が埋め尽くされてしまいました。さて残りのもう一人の怪人は最後のページで……。
スタートは怪人キング!ドラキュラ映画を製作年度の古い順にお届けします。
世界初の吸血鬼映画
『吸血鬼ノスフェラトゥ』
古典的映画化にして吸血鬼映画の最高峰と言われている『吸血鬼ノスフェラトゥ』 |
サイレント期のドイツ・ロマン派の恐怖映画には快作『カリガリ博士』があり、それから2年後に製作された本作は、ブラム・ストーカーの有名なドラキュラ伝説を映画化した古典の傑作ですが、日本では一般劇場未公開でした。
[作品紹介]
・1922年/ドイツ映画
・上映時間:62min
・監督:F・W・ムルナウ
・出演:マックス・シュレック、アレクサンダー・グラナック
燕尾服の貴族的ドラキュラをつくり上げた
『魔人ドラキュラ』
伯爵と教授の死闘を重厚に描いた『魔人ドラキュラ』 |
監督トッド・ブラウニングが、あの『フリークス』の2年前に創り上げた逸品。本作の主演は、当初『ノートルダムのせむし男』など凝ったメイクで「千の顔を持つ男」と呼ばれたロン・チェイニーを予定していたのですが、急死し、舞台でドラキュラを演じたことのあるベラ・ルゴシが演じました。その後のベラ・ルゴシはツキから見放され不遇のうちに死去。遺体はドラキュラの扮装で柩に納められたそうです。
[作品紹介]
・1931年/アメリカ映画
・上映時間:75min
・監督:トッド・ブラウニング
・出演:ベラ・ルゴシ、ヘレン・チャンドラー、デヴィッド・マナーズ
クリストファー・リーのはまり役
『吸血鬼ドラキュラ』
初のカラー版ドラキュラ映画『吸血鬼ドラキュラ』 |
ドラキュラ映画初のカラー映画で、血の赤を思いっきり前面に出しています。本作の大ヒットにより、クリストファー・リー主演のドラキュラ映画が量産されることになりまた。
[作品紹介]
・1957年/イギリス映画
・上映時間:81min
・監督:テレンス・フィッシャー
・出演:クリストファー・リー、ピーター・カッシング、マイケル・ガフ
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