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60s 青春のアメリカン・グラフィティ

1960年代当時、アメリカ文化は日本の若者の憧れでした。今回は、60年代アメリカの「青春の落書き(グラフィティ)」で魅せる作品を紹介します。

執筆者:中野 豊

60年代、音楽・ファッションを含めたアメリカの若者文化は日本人の憧れでした。しかし、アメリカ国内では1962年のキューバ危機からケネディ大統領の暗殺(1963年11月)。黒人差別撤廃を求める公民権運動の盛り上がりから黒人と白人の衝突が相次ぎました。指導的存在のキング牧師は1964年にノーベル平和賞を受賞するも、1968年4月 遊説活動中に暗殺されます。もう一人、「黒人に平和を」の演説中に銃弾を浴びたマルコムXは1965年2月に帰らぬ人となっています。

また、トンキン湾事件が引き金となって、ベトナムへアメリカが積極的に介入しベトナム戦争へと発展(1965年~)。そしてベトナム戦争の泥沼化から火が付いたベトナム反戦、大学紛争のうねった情勢の中から生まれた「ヒッピー」世代。アメリカの1960年代は疾風怒濤の時代だったのです。そして60年代最後の年の1969年にアポロ11号によってアメリカ人が月面に立ち、世界の希望となりました(今だに月面着陸はアメリカのでっち上げだと言う人もいます)。

さてそんな1960年代に生きた若者たちを描いた映画4タイトルを紹介します。「60s群像劇の2タイトル」、60年代青春ど真ん中のダスティン・ホフマン主演の「60年代の現代劇2作品」です。

◇スタートは、記事タイトルそのままの、60s群像劇の傑作『アメリカン・グラフィティ』から。

1960年代のアメリカン青春群像映画の最高作
『アメリカン・グラフィティ』&2

アメリカン・グラフィティ
1962年の夏のある一夜を描いた『アメリカン・グラフィティ』
『アメリカン・グラフィティ』
私たちがよく使う「オールディーズ」という言葉は『アメリカン・グラフィティ』公開以降から広まりました。それほどに本作は映画に留まらず音楽・ファッションを含めた若者文化に多大な影響を与えました。

当時弱冠29歳のジョージ・ルーカスがドラッグもベトナム戦争もない、ケネディ暗殺事件の1年前の1962年の青春像を見事にスクリーンによみがえらせました。実在のDJウルフマン・ジャックが本人役で登場し、適所に流れるオールディーズの名曲の数々。ガールハントに喧嘩にシグナルカーレース。ローラスケートを履いたカーポップでチェリーコーク。1962年というアメリカが最も華やかで夢にあふあていた時代の「青春の一夜を切り取った」これ以上ない完全無欠の青春ロックンローラー映画です。

【作品情報】
・1973年/アメリカ映画
・上映時間:110min
・監督:ジョージ・ルーカス
・出演:リチャード・ドレイファス、ロン・ハワード、ポール・ル・マット、チャーリー・マーティン・スミス、キャンディ・クラーク、シンディ・ウィリアムズ、ウルフマン・ジャック、ボー・ホプキンス、ケイ・レンツ、ハリソン・フォード、マッケンジー・フィリップス

『アメリカン・グラフィティ2』
アメリカン・グラフィティ2
その後のアメリカン・グラフィティを描いた『アメリカン・グラフィティ2』
続編の『アメリカン・グラフィティ2』は、ジョージ・ルーカスは製作総指揮でクレジットされています。

カリフォルニアを舞台に、夏の夜を謳歌する筋書きは前作同様ですが、あの時(1962年)から3年の時がたった1965年は、ベトナム戦争がはじまり、反戦運動、そしてヒッピーへとそれぞれが別の道を歩きはじめた登場人物たちの4年にわたる大晦日の出来事を交錯させながら描いています。ベトナム戦争の影が映画にも暗い闇の部分を反映しています。

【作品情報】
・1979年/アメリカ映画
・上映時間:111min
・監督:B・W・L・ノートン
・出演:チャールズ・マーティン・スミス、キャンディ・クラーク、ボー・ホプキンス、ロン・ハワード、マッケンジー・フィリップス、シンディ・ウィリアムズ、リチャード・ブラッドフォード、ロザンナ・アークエット、メアリー・ケイ・プレイス

次ページは、もう一本の60s群像劇と、ダスティン・ホフマン主演作品です。
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