アヴァンギャルドが娯楽映画になったエポック
『ブルーベルベット』
全米批評家協会賞作品賞・監督賞、LA批評家協会賞監督賞受賞作品『ブルーベルベット』 |
あらすじを記しても意味がありませんが、ある日突然「切り落とされた耳」を発見したらどうするか?その謎を解こうとするとナゾナゾのスパイラルに陥ってゆきます。リンチ趣味が開花した作品と言ってもいいでしょう。本作がリンチの最高作と考えているファンも多いですね。
・1986年/アメリカ映画
・上映時間:121min
・出演:カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーン
テレビドラマが主役で映画が追随した
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』
TVドラマの前日談を描いた『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』 |
本作映画版はTVドラマ本編の前日談を映画化したものです。TV版では解き明かされなかった謎を解明しながら、ローラ・パーマーが殺害されるまでの7日間を克明に追ってゆきます。またデヴィッド・ボウイやキーファー・サザーランドの出演にファンにはたまらない一篇。
・1992年/アメリカ映画
・上映時間:135min
・出演:シェリル・リー、レイ・ワイズ、ダナ・アッシュブルック、ジェームズ・マーシャル、カイル・マクラクラン
感性が試される!映像スリラーの傑作
『ロスト・ハイウェイ』
こんなに怖い映像を見たことがない『ロスト・ハイウェイ』 |
終始アンダーな露出の画面と、細切れの示唆的なシーンの連続が不気味さを煽り、物語は謎だらけ。理解不能な本作をリンチ自身は「心因性記憶喪失=サイコジェニック・フーガ」を描いたと語っています。
・1997年/アメリカ映画
・上映時間:135min
・出演:ビル・プルマン、パトリシア・アークエット、バルサザール・ゲティ
ストーリーテラーでもあるリンチの感動作
『ストレイト・ストーリー』
リンチ映画の中の真っ当な物語に涙する『ストレイト・ストーリー』 |
リンチ作品の中で、もっとも真直ぐな物語。それでストレイト・ストーリーという題名になったのではなく、主人公の老人の名がアルヴィン・ストレイトだったというわけです。リンチの奥様が映画化を熱望したと聞いています。奥さん孝行を果した?感動物語です。リンチらしからぬ映画だと思うカルトファンも居るかもしれませんが、映像をじっくりと再見してみてください。リンチらしい映像が沢山詰まっています。
・1999年/アメリカ映画
・上映時間:111min
・出演:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・ディーン・スタントン
映像ランゲージの「ある方向」を示した傑作!
『マルホランド・ドライブ』
カンヌ国際映画祭監督賞、全米批評家協会賞作品賞、NY批評家協会賞作品賞、LA批評家協会賞監督賞を受賞した『マルホランド・ドライブ』 |
摩訶不思議な「ハリウッド・バビロン」の世界へと誘う脳内トリップ映画の大傑作! リンチ作品で、今後本作を超える映画は果たして出来るのでしょうか?
・2001年/アメリカ映画
・上映時間:146min
・出演:ナオミ・ワッツ、ローラ・エレナ・ハリング、アン・ミラー
そしてリンチの長編映画第10作目となった新作
『インランド・エンパイア』
淫乱度(笑)は増強され、映像とノイズで危険領域に入ってしまう強烈なフェティズムと直感的俊敏さで180分の長丁場を一気に駆け抜ける「今年一番危ない映画」。・2006年/アメリカ映画
・上映時間:180min
・出演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ハリー・ディーン・スタントン、ジャスティン・セロー、カロリーナ・グルシュカ、スコット・コフィ
・関連リンク
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