今回は、視覚的傾倒型アーティスト、デイヴィッド・リンチの長編監督作品を時系列でお届けします。トップは『イレイザーヘッド』から……。
長編第1弾のカルト作品
『イレイザーヘッド』
リンチ自主製作の長編デビュー作『イレイザーヘッド』 |
リンチには請負的作品もありますが、本作に現在のリンチ映画の源があります。リンチを語るには本作は押さえておきたい実験的快作です。
・1977年/アメリカ映画
・上映時間:89min
・脚本:デイヴィッド・リンチ
・出演:ジョン・ナンス、シャーロット・スチュワート
ヒューマニズムか好奇の視点なのかが試される
『エレファント・マン』
リンチの名を世界的に轟かせたヒット作『エレファント・マン』 |
当時33歳のデイヴィッド・リンチが演出。リンチの名を一気に押し上げた作品です。また、フレディ・フランシスのモノクロ画面が19世紀のムードを見事に醸し出しています。初見時、涙がとまらないほどでしたが、本作鑑賞後に上記『イレイザーヘッド』を観たことが災い……。涙の感動作として映画史に残してよい映画だと私は思ってますが、作家リンチ自身は好奇の視点で創りあげたのかもしれません。
・1980年/アメリカ=イギリス映画
・上映時間:125min
・出演:ジョン・ハート、アンソニー・ホプキンス、アン・バンクロフト
リンチが創造した唯一のSF映画
『デューン/砂の惑星』
リンチの請負作品『デューン/砂の惑星』 |
映像はリンチらしいグロテスクキャラに目を見張るものがあります。中世の建築美を思わせる大掛かりなセットと質感、じめっとした画面などリンチお得意のダークな世界観が発揮されていて見応えは十分。ただし、最終編集権(ファイナルカット)がなかったため、当のリンチは失敗したと思ったと聞いてますが、もっと失敗したぁと思ったのは、本作が興行的にふるわなかった製作者、ハリウッドのカリスマプロデューサー、ディノ・デ・ラウンティスだと思いますね。
・1984年/アメリカ映画
・上映時間:137min
・脚本:デイヴィッド・リンチ
・出演:カイル・マクラクラン、ホセ・ファーラー、ポール・スミス、フランチェスカ・アニス、スティング
快楽主義の歪曲したフェミニズム
『ワイルド・アット・ハート』
カンヌ国際映画祭グランプリ(現パルムドール)に輝いた『ワイルド・アット・ハート』 |
娘を溺愛する母親は、セイラーから娘ルーラ(ローラ・ダーン)を取り戻そうと殺し屋を雇いますが……。過激さにめまいを起こす快作!
・1990年/アメリカ映画
・上映時間:125min
・脚本:デイヴィッド・リンチ
・出演:ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーン、ウィレム・デフォー、イザベラ・ロッセリーニ
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