1945年8月、太平洋戦争終結
出版社: 柏書房(1997/09) 細谷千博、後藤乾一、入江昭、波多野澄雄 編「太平洋戦争の終結―アジア・太平洋の戦後形成」 |
翌日の8月10日、日本政府はポツダム宣言の受諾を全世界に通告、8月14日に御前会議において宣言の受諾を正式に決定し、8月15日(終戦の日)、昭和天皇の声明を録音したレコードで、全国に同宣言の受諾を国民に知らせる玉音放送が行なわれました。神(天皇)が人に戻られた日です。
8月30日連合軍最高指令官ダグラス・マッカーサー元帥が厚木に到着。9月27日天皇がアメリカ大使館ヘマッカーサー元帥を訪問。会談の内容は伏せられましたが、「マッカーサー回想録」によれば天皇は次のように述べたと記されています。
「戦争遂行にあたって政治・軍事両面で行った全ての責任を負う者として、私自身をあなたの代表する諸国の採決にゆだねるためにおうかがいしました」
最初に紹介する作品は、終戦前後の昭和天皇ヒロヒトの私人としての姿をみせるロシア映画『太陽』から……。
ロシアの名匠が終戦時の天皇陛下を見詰めた
『太陽』
天皇をロシアの視点で描いた 『太陽』 |
ヒトラーと天皇ヒロヒトを比較して論ずるつもりはありませんが、映画『太陽』の中の天皇は、国民のため、そして歴史によって「現人神」として生きなくてはならない存在でした。しかし天皇は「国民と何ひとつ変わらない人間」であることを知っています。チャップリンの『独裁者』が善悪使い分けた二役の映画でしたが、『太陽』では「天照大御神の天孫である現人神」と「人間」を一人の人間の中で演じ分けて生きなくてはならない天皇の苦悩が描かれています。映画終盤(終戦後)、米国記者が天皇をはじめて見て言います。「チャップリンだ!チャーリーだ!チャーリー帽子を取って!」と……。
天皇の戦争責任と、人間ヒロヒトの私的な側面を見詰めた「日本で撮ることの許されない(?)」貴重な作品。
・2005年/ロシア映画
・上映時間:115min
・監督:アレクサンドル・ソクーロフ
・出演:イッセー尾形、ロバート・ドーソ、佐野史郎、桃井かおり
次ページは、原爆を題材にした3作品です。公開中の新作『夕凪の街 桜の国』、『ヒロシマナガサキ』、そして故 今村昌平監督の傑作『黒い雨』です。