セレクトの序列は、製作年度の新しい作品から紹介します。本ページの20世紀終盤に製作された3作品共に中国語圏映画となりました。最近の邦画の恋愛映画は、コミカルなアプローチやファンタジー路線の作品が多く、純朴なラヴストーリーが減ってきたのではないでしょうか。
そして、近年 ミニシアターが増加し、大ヒットは望めなくとも良質なアジア映画が陽の目を見る機会も増え、その中に往年の邦画の流れを汲む、真直ぐなラヴストーリーを見ることができるのではないのかと感じる次第です。
さて、セレクト10本のトップは、このお洒落な香港映画からです。
かようねんか イン・ザ・ムード・フォー・ラヴ
『花様年華/IN THE MOOD FOR LOVE』
主人公二人以外は記号化している、人々の中のたった二人の物語『花様年華/IN THE MOOD FOR LOVE』 |
大筋からは俗っぽい不倫映画のような印象を受けるかもわかりませんが、本作の素晴らしさは、映画全体から滲み出る色香、ムードです。何から何までカッコいい、東洋の伊達さが凝縮されている一篇です。
近所の屋台へ買い物へ行くだけのマギー・チャンが、チャイナドレスを着てヘアスプレーを一本使い切っていると思うほどに固められたヘアスタイル。ポマードでピタリと決めたニヒルなトニー・レオンの姿。私たちが忘れ去った日本の昭和中期の「モガ・モボ」の姿をここに見たり!
・2000年/香港映画
・上映時間:98min
・監督:ウォン・カーウァイ
・出演:トニー・レオン 、マギー・チャン 、スー・ピンラン
アジアンビューティー チャン・ツィイー登場!
『初恋のきた道』
チャン・ツィイーを見出したことでも映画史に残る『初恋のきた道』 |
彼からプレゼントされた髪飾りを失くしてしまい朝から晩まで何日も何日も探す乙女の姿。現代日本が忘れてしまった「アジアの純真」に涙せずにはいられません。これほど男性の観客が号泣していた映画も記憶にありません。
・1999年/中国映画
・上映時間:89min
・監督:チャン・イーモウ
・出演:チャン・ツィイー、チョン・ハオ、スン・ホンレイ
テレサ・テンの名曲を映画の中で聴いてみる
『ラヴソング』
プロローグとエピローグの同じ駅の意味を考える『ラヴソング』 |
やがて、稼いだお金を投資ですってしまった女は、やくざ組織の気の良い何故かミッキーマウス ヲタクの親分と知り合います。親分は組織抗争から香港をおわれますが、マギーは世話になった男(やくざの親分)を捨てて一人で行かせることは出来ませんでした。
雨の中、やくざの元に戻ってしまった女を待ち続け佇む青年の姿が印象的です。そして、物語はここから新たな展開となります。
・1996年/香港映画
・上映時間:118min
・監督:ピーター・チャン
・出演:レオン・ライ、マギー・チャン、エリック・ツァン
次ページからは、邦画です。