時代という運命が人を引き裂き、過去は夢の中に封印される
『ひまわり』
輝く太陽と、その太陽に向かって美しい花を咲かせる「ひまわり」をメタファーとして、戦争という暗雲に太陽の光が閉ざされた女の悲劇を描く『ひまわり』 |
イタリア南西部、ティレニア湾に臨む港湾都市ナポリで幸せな新婚生活を享受しているジョアンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)ですが、ある日アントニオは第二次大戦中、ソ連戦線に駆り出されることとなり、そのまま行方不明になってしまいます。彼の生存を信じるジョアンナは遥々ソ連へ探しにゆきます。
そして、ソ連のウクライナでアントニオの家を探し当てたのですが、そこには、平穏そうに生活しているアントニオ夫婦と子供の姿をみるのでした……。
・1970年/イタリア映画
・上映時間:107min
・監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
禁断の愛、生きるべきか生けるべきか?
『ロミオとジュリエット』
愛の完結は死であってはいけない『ロミオとジュリエット』 |
お話は誰もが知っている「犬猿の仲である家柄の二人の禁断の愛の物語」です。この1968年のゼフィレッリ監督版の素晴らしさは、斬新な解釈もさることながら、主演の二人の瑞々しさに尽きると思います。特にオリヴィア・ハッシー(歌手、布施明の元奥様としての方が日本では知られているのかもしれません)の魅力とニーノ・ロータの音楽に泣かされずにはいられません。
・1968年/イギリス=イタリア映画
・上映時間:138min
・監督:フランコ・ゼフィレッリ
・主演:オリヴィア・ハッシー、レナード・ホワイティング
愛は理論ではない、そこに有るだけでよい
『男と女』
カンヌ国際映画祭グランプリとアカデミー外国語映画賞に輝く『男と女』 |
妻が自殺して憔悴した男(ジャン・ルイ・トランティニャン)と、夫と死別した女(アヌーク・エーメ)が出会い恋をする「心の揺らめき」を映像イメージで綴ります。
♪ダァーヴァーダー♪サヴァダヴァダ♪サヴァダヴァダ♪……
赤・青・黒のモロクローム画面から流れる、あのボサノバのリズムと共に、大人のオシャレを見つけてください。
・1966年/フランス映画
・上映時間:104min
・監督:クロード・ルルーシュ
突然の愛、男女の心根は謎ばかり
『恋人たち』
新たなラヴィストーリーを魅せた『恋人たち』 |
本作は、実はドラマチックな演出を避けています。ヌーヴェルバーグの傾向というのか、監督の個性なのか分かりません。というより両方でしょうけれど、物語もいたってシンプルです。愛人にも夫にも満足できないジャンヌが、二人を嫉妬させようと無関係な若者を呼び込むまではいいのですが、どうしたはずみか青年を愛するようになってしまいます。
この作品を取り上げた理由(わけ)は、その単純な部分です。観客は愛に「歴史」を欲しがりますが、本作はそれをまったく無視し、突然顔を合わせた男女がさしたる理由もなく愛し合い、生き方を突如変えてしまうのです。この二人はいったいどうなってしまったのか? それは観客すらわからない謎です。この謎がとても気に入りました。
・1958年/フランス映画
・上映時間:87min
・監督:ルイ・マル
・主演:ジャンヌ・モロー、アラン・キュニー、ジャン=マルク・ボリー
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