大興奮のサプライズ・インタビュー
ハリウッドの第一線で活躍を続ける世界的な大スターで2度オスカーに輝いた名優が、こんなに気さくだなんて! |
◆普通の地下鉄職員、しかも欠点のある男を演じています。普通の男ほど演じるのは難しいとも思われますが、なぜそれを希望したのでしょう? 役作りのポイントは?
――この作品は『サブウェイ・パニック』(74)のリメイクなんだけれど、ウォルター・マッソーが演じたオリジナルのガーバーは警察官だったんだ。僕は少し前に『インサイド・マン』で刑事を演じていたので、また同じような役をやりたくないと思った。銃の扱いも全然分からない平凡な一般市民で、たまたま犯人からの電話に出てしまったことによって人生が一変してしまう、そんな男を演じたかったんだ。
僕も含めて、ほとんどの人が普通の人間だと思うよ。だから演じるのは、特に大変とは思わなかった。今回は25ポンド(約11kg)ほど体重を増やしてメガネをかけて、ちょっとくたびれた不器用な男のイメージを作った。そんな普通の男が普通ではない、異常な事態に巻き込まれていくという所に、僕はすごく惹かれたんだ。命も脅かされる危機的な状況にもかかわらず、それを知らずにいる妻から電話で「帰りに牛乳を買ってきて」って言われるような所も、とても好きだった。
◆(いよいよ筆者の質問です)あ、あの、では……(声がうわずって無我夢中。この時思いもよらぬサプライズが。詳細は後ほど)普通の男ガーバーを演じるにあたって、どんな所に……一番共感したのでしょうか? 自身との共通点は、ありますか?
――共感できる所は、たくさんあったよ。父親としての立場。それから、人生においてちょっとしたミステイクを犯してしまったり、正しいと思ってやったことが間違った方向に行ってしまうような所とかね。僕は、すごくガーバーに似た部分があると思うんだ。それは、たとえば僕は普通の人間なんだけど、(俳優という)普通じゃない仕事をしている。彼も普通の人なのに、その日に限って普通でない仕事に就いてしまうことになるわけだよね。でも彼は勇気を出して、命がけで任務を遂行する。そんなキャラクターに、とても共感できたんだ。
◆犯人を演じるジョン・トラボルタとは初共演ですね。ご一緒していかがでしたか?
――素晴らしい俳優だよ。人間的にも暖かくて、今回とても楽しく仕事をすることができた。僕たちは同じシーンで顔を合わせることが少なくて、マイクを通しての会話が多かったんだ。交代でカメラの前に立って、撮影の最初の3週間は僕が司令室でジョンが楽屋、その後の3週間は彼が地下鉄の中で、僕が楽屋にいて会話するというふうにね。でも通常より密な関係になった気がしたよ。一緒にジョークを言ったり、歌を歌ったりして過ごしたんだ。
◆ご自身の人生で、ガーバーが経験したような大変な交渉事ってありましたか?
――あまりないなあ。しいて言えば子供の頃、母との交渉事かな。閉め出されて家に入れてくれって感じでね(笑)
◆撮影中、やっちゃった、というようなご自身の失敗談はありますか?
――コーヒーをこぼして自分にかけちゃったけど。あれは演技だったし(笑)。失敗というのではないけれど、この作品は走るシーンがけっこうあったんだ。実は僕、2週間前に膝を手術したばかりで、そこはまずかったなと思ったよ。スポーツで痛めてしまって、3度目の手術だったんだ。