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北野武インタビュー天才たけしの頭脳に潜入(7ページ目)

『監督・ばんざい!』がオイラのターニングポイントになると公言した北野武。直撃インタビューを通じてたけしの脳に潜入。「全キャリアをすっ飛ばした」と話す13作目と今後の構想を笑い満載で語る【独自写真掲載】

執筆者:南 樹里

天才たけしの頭脳に潜入
北野武監督『監督・ばんざい!』インタビュー

天才たけしの頭脳に潜入『監督・ばんざい!』北野武インタビュー
おいらは奇数秒がすき
Q:編集の秒数カウントについて、いつ頃から?

北野武監督:おいらね、映画の監督を初めてやった時、皆に「映画知らない」とか「カメラワークわからない」ってワーワー言われたんだ。
実はおいら、その当時テレビ番組のコントのカメラ割をやってたの。映画のカメラは1台だけど、テレビは6台。だから(映画の)1台なんか、簡単』って思った。
「抜き」ってセンスなの、スイッチングで「短いだの長いだの」言ってたからね。パッと笑うのも、驚くのも感動するのも、だいたい同じ秒数。まあ、そのカット割りはセンスだけど。当てはめると意外に当たってることが多い。

Q:奇数秒が、北野映画の編集極意ですか。もう少し教えて下さい。

北野武監督:1秒24コマで考えるより、シーンの1秒、3秒って編集が多くて2秒、4秒ってあまりとらないの。それのほうが自分で心地いい。例えばアクションの間の画なんだけど「カット」で耐えて、そのあとのリアクションだけ狙う監督もいる。そうすっとカットかけた後の役者の表情をグッっと寄ってシャッと撮る。それも何秒とかあって、やっぱりおいらは奇数秒。

一番ダメなのは4秒だったり、5秒だったり、バラける監督がいんの。するとね、実に不快になってくる可能性もあんの。だから無理やり理屈をつけると気持ち悪い映画は、その秒数を変えていることがある。恐怖映画はヒャって変わったり、「何かあるなー」ってドンときたり、息を抜いた時にドン! いきなりドン!とか。それはリズムを非常に計算したカットで入れてくるわけ。

Q:そのリズムが(『監督・ばんざい!』内の1篇)「能楽堂」に入ったらどうでしょう?

北野武監督:ん?! 「能楽堂」はねえ、端からダメだったなあ(笑)。(渡辺)哲さんね、犬だと思ったらしく「ウーウー」唸(うな)りながら歩いて来るんだ。それで皆が「誰か唸ってる?」って、そしたら本人が唸ってた。「うー、ワン!」って言ったことあんだよ(笑)。おっかしくて、あきらめたの。もう水着の女とかいれちゃって、ヤケクソ。哲さんの顔、こんなにでかいじゃない、能面は小さくて。どう見ても能面を食ってるみたい。あれは情けなかったね。

※画像クリック
天才たけしの頭脳に潜入『監督・ばんざい!』北野武インタビュー
・編集の極意(1)
天才たけしの頭脳に潜入『監督・ばんざい!』北野武インタビュー
・今後の構想


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