6月3日(木)、東京、ホテル西洋銀座のスイートルームでのインタビューです。『俺たちに明日はない』(1967)の脚本家、『クレイマー、クレイマー』(1979)『ノーバディーズ・フール』(1994)の監督というので喜んで取材に。意外なことに初来日。今朝は、朝4時半頃から息子さんや関係者と築地の魚河岸に行ってきたのだそう。日本は、毎日新しい発見があって楽しいと声をはずませる。これまでの作品数は、そう多くはないが、いずれも秀作で出演俳優も名優ぞろい(⇒後半、掲載)。
原作「ヒューマン・ステイン」を映画化しようと思ったことから伺う。原作者、フィリップ・ロスの作品は処女作品集の『さようならコロンバス』から全て読んでいるそう。そして「彼は20世紀末から21世紀にかけての一番偉大な作家だと思う」と語る。ただ素晴らしい小説を映画化することは「非常にむずかしい」。それは「(小説としてならいいが)映画となると出来事が良くなかったり、内面探りが非常に抽象的なことが多い」ことによるからだそう。ただこの「ヒューマン・ステイン」は、読んだ時にコールマン・シルク(アンソニー・ホプキンス)の若い頃、年老いた頃のキャラにすごく惹かれたという。フォーニア・ファーリー(ニコール・キッドマン)レスター・ファーリー(エド・ハリス)も同様だ。「殺人もあるし、二つのラブストーリーもある」。そして「二人の男がダンスするシーンは、映画に相応しい」。と、それで「これはほっておけない」と思ったそう。
撮影リクエストに応えてくれるロバート・ベントン監督 | 通訳の鈴木小百合さんと来日中は専属。このあと大阪へ。 | インタビューが盛り上がり、大爆笑ロバート・ベントン監督 |
脚本をオリジナルで書いている場合でも、原作を脚色している場合でも、「常に俳優が頭に浮かんでくる」んだそう。『ノーバディーズ・フール』の時は、かなり早い段階からポール・ニューマンしかいないと思っていたそうだ。そして「ヒューマン・ステイン」はアンソニー・ホプキンスが浮かんだ。理由は、ダスティンン・ホフマンの言葉、「演技というもの、所作、振る舞いがある。つまり愛情、悲しみ、幸せ、怒りは演技でできる。だが、どうしても演技ではできない資質の部分がある。それは知性、存在感、心に秘めた怒りといったもの」。
『白いカラス』ロバート・ベントン監督インタビューニコール・キッドマンとアンソニー・ホプキンスのことも