ジョン・ウー監督:ベン・アフレックと仕事が出来て大変、嬉しかったです。非常にカリスマ性があるし人間性も魅力的で、撮影中もジョークを連発して周囲を楽しませてくれる素晴らしい人です。
この主人公マイケルは、スーパーヒーローではなく普通のコンピュータエンジニアだから 生身の血の通った男として自然に演じてくれたのでよりリアルな感じがしたし情熱的でピッタリなキャスティングでした。また素晴らしい俳優というだけでなく、ご存知のように彼自身も脚本を書いたり、また若手の映画制作者にチャンスを与える活動(プロジェクト・グリーンライト)を行ったりと友人としてだけでなく、フィルムメーカーとしても尊敬しています。それにケーリー・グラントを思わせるエレガントな雰囲気を持っている、誰からも好かれる人です。
Q:日本で一緒に仕事をしたいと思う映画人は?ジョン・ウー監督:「高倉健さん」は、子供の頃からのファンで、いつか一緒に仕事をしたいと思っています。「小林旭さん」も同じように昔からのファンで私のアイドルです。「北野武さん」素晴らしい映画監督でもある。他にも若い映画の将来を背負う人々がたくさんいらっしゃると思います。
Q:映画の中で、記憶の消去がポイントだと思いますが、個人的に消したい記憶はありますか?ベン・アフレック:(笑)たくさん、あるな~。この映画でもいってますが、記憶って言うのはいい事も、悪い事もあって、人生を形成しているということですね。ですから、そういったさまざまな経験=記憶がその人の人生なのですから、消すべきではないと思います。とはいっても消したいなという誘惑に駆られることもありますが…(笑)。
Q:あまりSFはお好きでない?と伺っていますが…ジョン・ウー監督:SFというジャンルは、正直にいってあまり好きではないです。私が大事にするのは、ストーリーです。『フェイス・オフ』もSFですが、善悪を他比させるコンセプトが面白いと思って興味を持ちまして手がけました。この『ペイチェック 消された記憶』の場合も、ストーリーに惹かれたんです。とても巧妙な脚本でした。例えば、登場人物の描かれ方、あの19個のアイテムの謎解き、そして人間は自分で人生を変えていけるということは、勇気を与えるメッセージになると思ったんです。実は、もともとの脚本から80%ぐらい、SFのシーンを削りました。そうすることで人間ドラマの部分に、より焦点をあてることになるからです。その方がスリルもサスペンス力も強くなって、より心に訴える作品になりました。