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東京国際映画祭に彩りを添えたスターたち 来日記者会見特集(6ページ目)

第15回東京国際映画祭を華やかに彩ったトム・クルーズやジャンヌ・モローなど、運良く私が取材できた俳優、監督たち6人の来日記者会見をダイジェストでご紹介します。

執筆者:名護 末子

プロ顔負けのテクニックでショパンに挑戦
エイドリアン・ブロディ(『戦場のピアニスト』)


 
瞳が印象的なエイドリアン・ブロディ
今年のカンヌ映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した、ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』。この映画の完成披露試写を観て、主役のエイドリアン・ブロディの切なそうな、はるか遠くを見つめているような瞳にググッときてしまった私。その4日後に行なわれた記者会見(11月1日)で生のエイドリアンに会えるとあって、かなり興奮していた。

会見場に現れたエイドリアンは、黒一色のスタイル。細めの体がよけい細く見える。彼はこの映画のために10キロ減のダイエットをしたとか。静かなトーンで話す雰囲気は、とても繊細な感じで、1973年生まれの29才にしては落ち着いている。SMAPの中居クンは1972年生まれで、エイドリアンより1才年上なんだけど……。

今回の役は実在の人物で、ポーランドの国民的作曲家&ピアニストのW・シュピルマン。だからピアノを弾くことは絶対不可欠。映画の中で最も感動的なシーンでもある、ナチス将校にショパンの曲を弾いて見せる約4分間のシーンは、代役なしでこなしたというエイドリアン。「ピアノは大学でほんの少しかじった程度。撮影に入る前に、1日4時間、約8週間のピアノのレッスンを専門家に受けた。ナチス将校にピアノを弾いて見せるところは、楽譜なしで最後まで弾くことができたので、ピアノの先生にもほめられたし、これからも続けたほうがいいと言われた。でもピアノというのは毎日のレッスンが必要だし、自分はそこまでのめり込むことはできない」ということで、現在はピアノを弾く機会はないらしい。

映画の主人公W・シュピルマンの息子のクリストファー・W・A・スピルマンさんと一緒に
彼のこの役に対する意気込みを聞いて感動した。ピアノの練習やダイエットもそうだが、少しでも全てを失ったユダヤ人の気持ちをつかみたくて、車を捨て、アパートも売り払い、身ひとつでアメリカからヨーロッパに乗り込んだそうだ。


「こういう役は、そうそうめぐり合えるものではない。だから感謝しているし、後悔はない」と語るエイドリアン。ほんと良かったわよね、作品が好評で。こんな捨て身の想いまでした映画が駄作、酷評もんだったら、ショックで誰かを呪いたくなったかもね。

アメリカでは12月下旬に公開されるこの映画。早くもアカデミー賞有力候補にもなっているそうだけど、エイドリアンの瞳と役者魂に魅せられた私としては、ぜひ彼も主演男優賞にノミネートされてほしいな。


『戦場のピアニスト』アミューズピクチャーズ配給



■『戦場のピアニスト』
監督:ロマン・ポランスキー 
主演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン 
2003年2月より全国東宝洋画系にてロードショー
オフィシャルサイト
http://www.pianist-movie.jp
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