テクノポップ/90年代以降のテクノポップ

ゼロ年代(2)2001年~Daft Punkで明ける(6ページ目)

第2回は、Daft Punkのモンスターヒット『Discovery』で明ける2001年。エレクトロクラッシュ系の台頭、北欧の切なさいっぱいのRoyksopp、くるり、宇多田ヒカル等・・・

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

●くるり『TEAM ROCK』(2001年2月)


研究生:
TEAM ROCK
2000年で出てきたスーパーカー、僕が少し話題に挙げたナンバーガール、そして本作を発表したくるり。この3組がゼロ年代の邦楽ロックの始まりを告げ、牽引していったという印象です。すでにメジャーなロックバンドとしての地位を築いていたくるりが、本作で“ロックだけでは表現できない領域もある”ことを明確に打ち出したのは、邦楽系の後続バンドやリスナーへ大きな影響を与えたのではないでしょうか。当時10代だった友人たちにとっても、この頃の邦楽ロックでは本作の衝撃がずば抜けていたそうです。そして本作のヒットの後では、4つ打ちのキックを導入したロックバンドやサウンドが濫発。邦楽に「ダンスロック」というジャンルを生むきっかけを作った感もありますね。ただし、当時のフォロワーにとってはハードルが高すぎる作品でもあったと思いますが。

先生:
くるり自体は、こっちの人と言うよりもあっちの人なんですが、曲単位ではかなりこっち。これは僕が唯一持っているくるりのアルバムですね。買った理由は・・・「One More Time」な「C’mon C’mon」が収録されている(笑)。その後の、「World End’s Supernova」なんかも完全にこっち。最近、SHANADOOやJaccaPopがカヴァーしていますね。

●宇多田ヒカル『Traveling』(2001年11月)


研究生:
Traveling
ちょっぴりプログレッシヴ風味のハウスサウンドが美しい大傑作!「風の前の塵に同じ」などの和っぽい歌詞や、桜をテーマにした楽曲でありそうな、やはり和っぽいコード感を持つシンセフレーズが艶っぽい。随所に散りばめられている日本的な情緒が印象的でした。夜のデートへ向かう途中の期待感が歌われていますが、その光景を俯瞰することで“通り過ぎていく者の刹那さ”を表現しているようにも受け取れるかも。・・・ま、ノイローゼ気味でホントすいませんな解釈なんですが(笑)、さまざまな感情を喚起させる大好きな一曲なのは確かですね。

先生:
こちらは2002年のシングルトップ10に入っていますね。宇多田=R&B的な発想から抜けた、個人的には一番好きな宇多田曲です。

■深田恭子『Universe』(2001年11月)


先生:
Universe
2000年に続いて、またフカキョン。今度は僕が選びました。このアルバムはアイドル(女優)歌謡という枠の中で最大限の遊び(実験)をしているところを評価したいです。「キミノヒトミニコイシテル」は、小西康陽のアイドル仕事の中でも完成度が高い! 深田恭子のピアノ演奏アルバム『Dear』からのクラッシック定番「Canon」を寺田創一がリミックスを施して、最高に遊んでいますしね。遊びだけでなく、シングル曲以外の「テレパシー」「質問があるの」「People」など泣ける曲が多い・・・もう捨て曲ないですから~。ストリングス・アレンジの「Universe」も壮大です! フカキョン本人がどれだけこのアルバムを評価しているか、それが気になります。

では、次は2002年です。
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