2001年


先生:
今回は、助手が年末で忙しいので、ゼロ年代対談を二人でやりましょう。2001年と言えば、僕がこのAll Aboutで記事を書き始めた年です。正確にはAll Aboutが始動した2001年2月15日。最初、「テクノのガイド」という枠で始めることになっていたのですが、僕の方から無理言って、「テクノポップのガイド」にしてもらったんです。これは別にPerfumeとかの現在のテクノポップ復興的なものを狙っていた訳でも何でもなく、単にこっちの方が自分のテリトリーを考えるとしっくりするという単純な理由からです。それほどデトロイトテクノとかに精通しているわけではないですし・・・

研究生:
基本的にAll Aboutって、一般生活者層へ日常生活に必要な情報を発信しているサイトだと思います。だから音楽コンテンツにしても、ロック、ジャズ、ソウル、クラシックあたりで十分に用が足りるイメージです。にも関わらず、サイトの創設段階でテクノの存在を意識していたのは興味深い事柄かも。先生は「担当が僕のサイトを見ていただけ・・・」と謙遜しておられましたが、All About側の意識はそれだけではないような気もしますねぇ。

先生:
「一家に一枚テクノポップ」とは言い難いですからね・・・。結構、何を書こうかって・・・当時のアーティストや出来事、再発ものについて書いていたんですが、自分でもなんだか模索しているうちに今のような状態になりました(笑)。まあ、そう言いつつ、もうもうすぐ9周年ですからね。横並びになるものもなく、浮いているからよかったんでしょう。現時点で音楽ジャンルのチャネルはテクノポップとDTM・デジタルレコーディングの独占状態(笑)・・・まぁ、ウェブと親和性がいいジャンルなのかも。

では、洋楽から行きましょう。

誰が選んだか分かるように次の印を付けておきます。
■(先生) ▲(研究生)

■Daft Punk『Discovery』(2001年3月)


先生:
amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
Discovery
ELOの方ではありません。2000年にシングル『One More Time』がヒットしましたから、このアルバムのヒットの予感というのは既にあったわけですが、やっぱり売れましたね。デビュー・アルバム『Homework』も未だに十分聴けるアルバムですが、このアルバムも鉄板揃いですね~。「One More Time」自体は、元祖フィルターハウス・ヒットのStardust(Daft PunkのThomas Bangalterもメンバー)の「Music Sounds Better With You」(1998年)の延長線上にあると言えますが、当時フィルターハウス系が盛り上がっていました。でも、このアルバムをよく聴いてみると、そんなにフィルターハウス一辺倒じゃないし、そのあたりも風化しなかった理由かと考えます。Daft Punkって根がファンクですからね。

踊るダフト・パンク

研究生:
時代のあだ花的要素となってしまうディスコっぽいギミック感を、前作にも増して強調しているのが印象的でしたね。ディスコって、うさん臭くて安っぽい音が刹那的に盛り上がり、シーンが一周した後でポップスとして定着していくもの。Daft Punkにも、2001年時点の最新型スペースディスコを奏でるトリックスターとして振る舞うことで、ダンスミュージックをゼロ年代のポップスとして定着させる狙いがあったのかも。その結果、ダンスビートはゼロ年代のポップスのフォーマットの一つとして定着した。こう考えると、彼らは当時感じていた以上に、シーンを俯瞰できていた存在だったように思えます。

先生:
Daft Punkって、1作目では間違いなくクラブ系のコーナーに並ぶのですが、このアルバムはポップ~ロック系コーナーに並んでも違和感がないですね。「Night Vision」なんか10cc的ですからね。且つ後に『Discovered: As Sampled by Daft Punk』と彼らのネタのコンピがリリースされますが、ネタ的にはR&B~ソウル系にならんでもいいし。

研究生:
あと、当時は本作を聴いた後、今後は90年代テクノ的なストイックさよりも、ディスコの刹那的な快楽主義が求められる時代になっていくのかも(?)と感じました。実際にこの後、刹那的でディスコなエレクトロクラッシュが濫発され、ダンスミュージックシーンは良くも悪くも肥大していきましたねー。

先生:
その後、YouTubeで「Harder Better Faster Stronger」に合わせて勝手に作られた映像「Daft Hands」「Daft Bodies」なども盛り上がりました。