テクノポップ/90年代以降のテクノポップ

ゼロ年代(2)2001年~Daft Punkで明ける(3ページ目)

第2回は、Daft Punkのモンスターヒット『Discovery』で明ける2001年。エレクトロクラッシュ系の台頭、北欧の切なさいっぱいのRoyksopp、くるり、宇多田ヒカル等・・・

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

▲Herbert『Bodily Functions』(2001年6月)


研究生:
Bodily Functions
よりによってアリゼちゃんの次に、地味渋すぎな作品ですいません(笑)。でも、これは重要作!クリックハウス~ゼロ年代版ミニマルテクノシーンの火付け役となった作品です。単に“何も起こらない=ミニマル”だった90年代ミニマルテクノと比べ、ゼロ年代版の特徴はよりファンキーになっていること。その源流を辿れば、似て非なる異ジャンルながら、本作のようなクリックハウス系が持つファンキーさへと行き着くようにも思えます。ただし、本作にはメロウな聴かせる系トラックや、ジャズ~アヴァン系のリズムのないトラックも多く収録されています。その点はよりダンス・オリエンテッドなサウンドを求められる、現在のミニマルテクノのモードとは異なってしまうのですが、ルーツの一つということで。あと、女子ウケも抜群の一枚でしたねー。


▲Prefuse73『Vocal Studies And Uprock Narratives』(2001年6月)


研究生:
Vocal Studies + Uprock Narratives
“エレクトロニカ+ヒップホップ”という触れ込みではBoards Of Canadaも思い浮かびますが、リズムのキレはこちらの圧勝!ファンキーかつエモーショナルなアブストラクトヒップホップがぎっしり詰まった、最高の一枚です!ボーカルデータをカッティングして、グルーヴを作り出していく録音手法「ボーカルチョップ」も話題になりました。翌年にリリースされたセカンドも最高で、世間的な評価はそちらの方が高いようです。しかし、ファーストもセカンドもどちらも必聴なのでこちらもピックアップ!

本作の聴きどころは、まずはやはりリズムのキレ。とにかくノレます。しかし、随所に出てくる上物フレーズがジャズや昔のフュージョン(60~70年代あたり)のようにも聴こえるのもポイントです。当時のポストロックやエレクトロニカは、ルーツレスな突然変異型の音楽というイメージが強かった。ところが本作を聴くと、実は従来のポップミュージックと地続きの存在であったことがわかります。“アンニュイで得体の知れない存在であること”が目的化しつつあったこの手のシーンへ一石を投じる、真の意味でエクスペリメンタルなサウンドだと感じたものです。そしてゼロ年代では特にエレクトロニカ系に、本作のようにリズムがはっきりしたポップなサウンドが増えていった印象がありますねー。


▲The Strokes『Is This It』(2001年8月)


研究生:
Is This It
テクノポップのコンテンツなのに、こてこてロックをピックアップしてすいません(笑)。しかし、ゼロ年代という括りではこの曲は外せません!ロックンロールリバイバルとも呼ばれた、その後の洋楽ロックへ大きな影響を与えた、ロウでストレートなロックンロールが支持されたムーヴメント。その発火点となったシングル曲「The Modern Age」も収録。この曲一発でムーヴメントが始まった感覚が強かったです。たった一曲でシーンが塗り替えられていったなんて、ほんとロマンのある話だと思います。

先生:
僕も今までStrokesに関わる記事を2度ほど書いていますね。一つは、マッシュアップのネタ曲として。もう一つは、セクシージャケとして(笑)。
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