テクノポップ/90年代以降のテクノポップ

ゼロ年代(1)2000年~ゼロ年代の幕開け(2ページ目)

助手、研究生と三人でゼロ年代音楽シーンをとっても偏った視線で総括して行きます。先ずは、90年代末の流れとゼロ年代の兆候を予感させる2000年から。Primal 、Avalanches、深田恭子、モー娘。・・・

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

●Primal Scream『XTRMNTR』(2000年1月)


助手:
Screamadelica
『Screamadelica』と並ぶPrimal Screamの最高傑作のひとつですね。90年代末にChemical Brothers、Underworld、Prodigyらが盛り上げたダンスミュージックの流れを最高のカタチで消化していますよね。まんまChemical Brothersな曲やまんまMy Bloody Valentineな曲があったり、それでも完全にPrimal Screamとしか言いようがないアルバムです。2000年の幕開けとともにリリースされたこのアルバムで、ある種90年代的ダンスとロックの融合はひとつの完成を見たといってもいいのではないでしょうか。

先生:
2000年の幕開けは、確かに90年代と地続きという感じですね。洋楽的には、今も続いている踊れるロック(最近ではロッキンエレクトロ)の兆候なんですかね。ただ、この辺りは90年代のマッドチェスターとかから繋がっていますから、突然現れたもんでもない。

研究生:
どこのロック系DJイベント行っても、「すわてぃっかあ~いず! しーがっ!!」の大合唱でしたねー(笑)。この先行シングル「Swastika Eyes」はモロなテクノチューンでしたが、アルバム全体(特に後半)も、クラウトロックのようなひんやりとした金属的な印象。『Screamadelica』がアシッドハウスへのオマージュだとすれば、本作は彼らなりの90年代テクノの解釈?と思ってみたり。これ以降は「ダンスとロックの融合」なんて、リスナー的には珍しくなくなった感もあります。ゼロ年代へ向けたニュースタンダードだったのかも。何にしても、こりゃ大傑作!

助手:
90年代の総括的アルバムでもあり、ゼロ年代のはじまりを告げるアルバムでもあったわけですよね。まさに2000年にリリースされるべくしてされたアルバムだといってもいいのではないでしょうか? 時代と寝るバンド=Primal Screamの最高峰といってもいいでしょう。
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