テクノポップ/近未来型アイドル

近未来対談~Aira Mitsukiのバービー化問題(5ページ目)

月面の次は、バービー? ニュー・シングル『BARBiE BARBiE』で一見、ガーリー路線に突っ走っているように見えるAiraちゃんですが、その内容は深刻な絶望感に包まれた奥の深い内容!!!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

「FREEDOM STAR」の情念


先生:
3曲目の「FREEDOM STAR」は、「PERFECT STAR」でも「HEAVENLY STAR」でもなく、好きな人を束縛したいという・・・往年の戸川純の世界にも通じる情念さえも感じる曲です。これも、歌詞と比べると逆説的なサウンドです。

博士:
昔から情念的なテーマをモチーフにしてる子は、戸川純でも椎名林檎でもCoccoでもどこか神がかり的だったのですが、Airaちゃんの場合むしろリアルな分だけ、倍切ない・・・

研究生:
“悲しい歌詞と明るい曲との組み合わせでマジックが起きる”とは、ポップスの常識でもあります。しかし、それをふまえても、詞と歌詞との振り幅が、極端です。

I Am Robot and Proud


先生:
リミックスが3曲ありますが、どれが気に入りましたか? 僕は『COPY』に収録されていた「Happiness land」のI Am Robot and Proudのリミックスです。I Am Robot and Proudはトロント出身の中国人、Shaw-Han Liemのソロ・ユニット。今までハウス系やエレクトロ系のリミックスはやっていますが、エレクトロニカ系というのは初めてですね。オリジナルの胸キュンなところを損なわず、さらにせつなく、温かく・・・いい化学反応が起こっています。

MySpace - I Am Robot and Proud

研究生:
僕も「Hapiness land」ですね。この出来は出色だと思います。『COPY』全体に漂う、ポップスにしては肩肘張りすぎかも?と感じるややブリーピーすぎるムードがうまくカットされているのではないでしょうか。エレクトロニカの中でも、センチメンタルなフィーリングの強い“フォークトロニカ”寄りのアーティストがうまくチョイスされています。泣けますな~。

一方、あとの2曲は『COPY』期を思い出させるような印象です。もろにKITSUNEやBoys Noize系を意識したようなサウンドですが、レアトラック集を聴いているような感触もありますね。ブリープテクノマニアにも喜ばれそうな音ではないでしょうか。

しかし、I Am Robot and Proudってエレクトロニカ系ではかなりメジャーなアーティストです。10代のマッシュアッパー(=Tofu Beats君)からこんな方々まで、起用が幅広い。そして、この手のさまざまなアーティストや音楽をきちんと“掘っている”。コンポーザーの必須条件ですが、実はなかなか実現できない、音楽をたくさん聴ける環境を整えているんだなぁと感心させられます。 その地道な作業の成果は、「カラフルトーキョーサウンズ No.9」の時点から飛躍的に進歩した、テクノポップ・コンポーザーとしてのTerukadoさんのスキルにしっかり反映されていると思いますね。

先生:
今回のシングル、Airaワールドをある意味極めています。一見それほど実験していないようなのだけど、奥が深い内容になっていると思います。

同日発売の~Aira Mitsuki初DVD『AIRA MITSUKI SPECIAL LIVE "090319" IN LIQUIDROOM』についても対談記事を掲載しておりますので、ご覧ください。
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