こんな裏切りだけの世界
博士:
話をマジに戻して、ライヴ・パフォーマンスという意味で期待を超えました。 Airaちゃんは実際歌い上げる(しかもオートチューンで)バラードの名曲が実に多い。 Perfumeのダンス・パフォーマンスには隙の無い完成度がありますが、それがフレキシブルな演出をむしろ困難にしている。ある曲の途中で乗ってきても客の反応に合わせて応答する事もなく延々と決められたダンスをこなさなければ成らない。お決まりのダンスをバックダンサーに任せたAiraちゃんの場合はその点、自由な演出が出来る。
先生:
僕が評価したのは、ライヴ用に作り直したトラックが結構多いという点です。オープニングも小粋で・・・「ロボットハニー」に始まり、「ロボットハニー」に終わる。
博士:
チップチューンが静かにブームの今、オープニングのテニスゲームとカウントダウンは“らしい”演出ですよね。
研究生:
CG上の「ロボットハニー」衣装では、リボンがネジになってましたね。 こりゃいいセンスです!かわいい♪
先生:
僕がある種の感動モードに入ったのは、「L0ne1yBoy L0ne1yGirl」のイントロとしてのモノローグですね。こんな暗くて内省的な台詞が似合う人も珍しい・・・
《こんな裏切りだけの世界》
博士:
中谷美紀のライヴ「butterfish」でもよく似た演出があったのを思い出しました。CTスキャンした中谷の映像にあわせて思わせぶりな単語をつぶやく映像インスタレーションっぽい感じ~それに比べアーティスティックな感じは希薄ですがメッセージ性は切実ですね。
研究生:
博士が中谷美紀を比較対象に出されたように、僕もここでは、彼女が主演したドラマ「ケイゾク」が思い浮かびました。終末観が満ちたメッセージは、90年代終盤を思わせるようなムードを漂わせていますね。
その後、楽曲へと移り変わる際のコントラストは感動的! 「L0ne1yBoy・・・」ってこんなにいい曲だったんだ!と再発見です。個人的には、ここから「HIGH SD スニーカー」までの展開がこの作品のハイライトでした。
サウンドだけではなく演出も含め、まさにニューエレクトロなムード満点。そして、テクノ的な近未来感もしっかり残されている。現在のAiraちゃんのモードと魅力がわかりやすく伝わるパートだと思います。
先生:
そのまま、地続きの世界を持つ「サヨナラ TECHNOPOLiS」に・・・
バックの映像にはまるでBoys Noizeの『Oi Oi Oi』のジャケのような髑髏が出てきます。そういえば、Airaちゃん、Boys Noize好きだったような。
研究生:
Boys Noizeの骸骨ジャケに、グラサンをかけさせただけのような印象もありますね(笑)。